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01Supervision商品監修

「監修」表記のルールとは?景品表示法の優良誤認にならない条件を解説

執筆: 旨味転生編集部読了目安 約6分

商品パッケージや広告に「〇〇シェフ監修」「専門家監修」と表示する際、実際の監修の関与範囲と表示内容が食い違っていると、景品表示法の優良誤認表示に該当するおそれがあります。本記事では、食品メーカー・外食チェーンの商品開発ご担当者に向けて、景品表示法の基本ルール、「監修」表記が問題となる典型パターン、契約書に盛り込むべき表示ルールの条項を解説します。

貴社が監修を依頼する側の実務全般については、商品監修とは?依頼方法と費用相場、シェフ選定の要点を解説もあわせてご覧ください。本記事では、依頼後の「表示」段階に絞って解説します。

景品表示法が規制する「表示」とは

景品表示法は、商品・サービスの内容や取引条件について、一般消費者に実際より著しく優良・有利であると誤認させる表示を禁止する法律です。「監修」表記のリスクを理解するには、まず規制の骨格である2種類の不当表示を押さえておく必要があります※1。

優良誤認表示(5条1号)

商品・サービスの品質や内容について、実際のものより、あるいは競争事業者のものより著しく優良であると一般消費者に誤認される表示です。「監修」表記でいえば、監修者がほとんど関与していないにもかかわらず、あたかも専門家が全面的に品質を保証しているかのような印象を与える表示が該当し得ます。

有利誤認表示(5条2号)

価格や取引条件について、実際のものより著しく有利であると一般消費者に誤認される表示です※2。「監修」表記そのものは価格表示ではありませんが、「監修料込みの特別価格」のように取引条件と組み合わせて訴求する場合は、有利誤認表示の観点からも確認が必要になります。

「監修」表記が景品表示法上のリスクになる典型パターン

「監修」という言葉は、一般消費者に対して専門家による品質保証があるという印象を強く与えます。だからこそ、実態との乖離が生じやすい表示でもあります。実務上リスクが高いとされる典型パターンを整理します。

パターン 内容 リスクの所在
名義貸し型 監修者が企画段階で名前の使用を許諾しただけで、レシピ開発や試食評価にほぼ関与していない 「監修」の一般的な語感(継続的な品質関与)と実態が乖離
範囲の誇張 監修者が一部の工程(味付けの一次案など)にのみ関与したのに、全工程を監修したかのように表示 関与範囲の誇張による優良誤認
承認前の先行表示 監修者の最終確認・承認を得る前に「〇〇監修」と確定表示してしまう 表示時点で実態が存在しない
監修終了後の表示継続 契約終了・商品リニューアル後も旧監修者の名前を表示し続ける 現時点の実態と表示の乖離

これらはいずれも、監修者との契約・確認プロセスを明確にしておけば防げるものです。特にご当地土産や外食チェーンの季節限定商品など、短期間で複数の監修案件が並行するケースでは、案件ごとの表示可否の管理が抜け落ちやすい点に注意が必要です。

不実証広告規制と「監修」表記の関係

景品表示法には、優良誤認表示の疑いがある表示について、消費者庁長官が事業者に対して表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる「不実証広告規制」が定められています(7条2項)※3。

資料提出を求められた場合、原則として求められた日から15日以内に提出する必要があります。期限内に十分な資料を提出できない場合、その表示は優良誤認表示に該当するとみなされます※3。「監修」表記についてこの規制が適用される場面としては、「〇〇シェフ監修だから美味しい」「専門家監修で栄養バランスが優れている」といった、監修による効果・品質向上を積極的に訴求する表示が想定されます。

こうした事態に備えるには、監修者とのやり取りの記録(試食評価コメント、修正指示のメール、打ち合わせ議事録など)を、商品の販売期間中は保管しておくことが実務上の備えになります。監修者本人による関与の証跡が、そのまま合理的根拠資料の土台になるためです。

「監修」表記を適正に行うためのチェックポイント

貴社が「監修」表記を用いる際に確認しておきたいポイントを整理します。

確認項目 確認内容
関与範囲の特定 監修者が具体的にどの工程(レシピ考案・試食評価・最終承認等)に関与したかを明確にする
表示前の最終承認 監修者本人の最終確認・承認を得てから「監修」表記を確定する
証跡の保管 打ち合わせ記録・修正指示・試食評価コメントなどを商品の販売期間中は保管する
契約期間との整合 監修契約が終了した商品・リニューアル後の商品で旧表示を使い回していないか定期的に点検する
表現の強さの点検 「〇〇監修だから安心」等、効果・品質向上を断定的に訴求していないか確認する

監修契約書に盛り込むべき表示ルールの条項

「監修」表記のリスクの多くは、監修契約の段階で表示に関する取り決めをしていないことに起因します。契約書には、次のような条項を盛り込んでおくと、表示段階でのトラブルを未然に防げます。

  • 監修者が関与する業務範囲の明記(レシピ考案・試食評価・最終承認のいずれか、または組み合わせ)
  • 「監修」表記を使用する際の事前確認・承認フロー
  • 契約終了後・商品リニューアル後の表示継続の可否と期限
  • 監修者の氏名・肖像・名義の使用範囲

名義の使用範囲についてはシェフの名義使用(ネームライセンス)契約の注意点|範囲・期間・肖像権、契約書全体の必須条項については監修契約書のひな形|記載すべき条項と注意点をわかりやすく解説で詳しく解説しています。ロイヤリティ型の契約を検討している場合は、シェフ監修のロイヤリティ相場|料率の決め方・契約形態・注意点を解説もあわせてご確認ください。

違反した場合のリスク

優良誤認表示・有利誤認表示に該当すると判断された場合、消費者庁長官(都道府県知事)は事業者に対して、当該表示の差止め、再発防止策の実施、一般消費者への周知徹底などを命じる「措置命令」を行うことができます※4。命令に従わない場合は罰則の対象にもなり得るほか、悪質と判断されれば課徴金納付命令の対象となる可能性もあります。

措置命令は事業者名とともに公表されるため、実際の売上・法的リスク以上に、ブランドイメージへの毀損が大きな実害になる点にも留意が必要です。「監修」表記は集客力の高いマーケティング手法である一方、実態管理を怠ると相応のリスクを伴う表示であることを、商品開発の初期段階から関係者間で共有しておくことをおすすめします。

まとめ

「監修」表記は、実際の監修者の関与範囲と表示内容が一致している限りは問題になりません。リスクが生じるのは、名義貸しに近い関与しかないのに全工程を監修したかのように見せる、承認前に確定表示してしまう、契約終了後も表示を使い回す、といった実態との乖離が生じたときです。消費者庁が資料提出を求めた場合は原則15日以内の対応が必要になるため、監修者とのやり取りの記録を日頃から保管しておくこと、そして監修契約書の段階で表示に関する確認フローを明記しておくことが、貴社の「監修」表記を適正に運用するための土台になります。

参考資料

  1. 表示規制の概要|消費者庁
  2. 景品表示法の有利誤認表示とは?事例をもとにわかりやすく解説|咲くやこの花法律事務所
  3. 不実証広告規制|消費者庁
  4. 景品表示法が規制する優良誤認表示とは?要件や違反事例を解説|BUSINESS LAWYERS

FAQ

よくある質問

商品に「〇〇シェフ監修」と表示すること自体は違法ですか?
表示自体が直ちに違法になるわけではありません。問題になるのは、実際の監修の実態(関与の範囲・程度)と、表示から一般消費者が受け取る印象とが著しく乖離している場合です。監修者が企画段階で助言しただけなのに、あたかも全工程を主導したかのような表示をすると、景品表示法の優良誤認表示に該当するリスクが生じます。
監修者への確認が終わっていない段階で「監修中」と表示しても問題ないですか?
「監修」という言葉は、一般消費者に対して専門家による品質保証があるという印象を与えやすい表示です。実際の監修プロセスが完了していない、あるいは監修者の最終承認を得ていない段階で確定的な表示をすると、表示内容と実態の乖離を指摘されるリスクがあります。監修契約書上で、どの段階で「監修」表記を使ってよいかを明確にしておくことが望まれます。
消費者庁から表示の根拠を示すよう求められたら、どう対応すればよいですか?
景品表示法の不実証広告規制により、消費者庁長官から資料提出を求められた場合、原則として15日以内に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を提出する必要があります。期限内に十分な資料を提出できない場合、その表示は優良誤認表示とみなされます。監修者とのやり取りの記録、関与範囲を示す契約書・議事録を日頃から保管しておくことが実務上の備えになります。
監修者が本人の意図と異なる形で表示されていた場合、誰の責任になりますか?
景品表示法上の表示規制は、表示を行った事業者(商品を販売する貴社)が対象になります。ただし、監修者との契約において表示内容の事前確認・承認手続きを定めていない場合、監修者本人とのトラブル(名誉毀損や契約違反の主張など)に発展するおそれもあります。表示内容の確認プロセスを契約書に明記しておくことが、両者にとってのリスク低減につながります。
「監修」以外に「推奨」「協力」といった表記を使う場合も同様の注意が必要ですか?
はい。「推奨」「お墨付き」「共同開発」など、専門家や第三者の関与を示す表現は、いずれも一般消費者に一定の品質保証の印象を与える点で共通しています。表現の種類にかかわらず、実際の関与実態と表示内容が対応しているかを確認する姿勢が重要です。

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