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冷凍食品の商品開発をOEM委託する流れと費用|試作費・最小ロットの目安

執筆: 旨味転生編集部読了目安 約9分

冷凍食品のOEM委託の費用は、原材料費・加工費・凍結費・物流保管費で構成され、最小ロットは100食程度から数千食単位まで工場により幅があります※4。

冷凍食品の新商品を自社工場を持たずに開発したい食品メーカー・外食チェーンの商品開発担当者に向けて、OEM委託で新商品を発売するまでの流れ、費用相場とロットの考え方、委託先の選び方、食品表示で見落としやすい注意点を解説します。

冷凍食品の商品開発を委託するとはどういうことか

冷凍食品のOEM(Original Equipment Manufacturing)委託とは、自社ブランドの商品を、自社では製造せず外部の食品工場に製造を委託する契約形態です。企画・レシピ設計まで自社で行い製造のみを委託するケースもあれば、商品設計そのものを工場側に依頼するODM(Original Design Manufacturing)に近い形で進めるケースもあります。

自社で冷凍設備を持たない食品メーカーや、実店舗運営が主軸の外食チェーンにとって、OEM委託は初期投資を抑えながら冷凍食品市場に新商品を投入する現実的な選択肢です。急速冷凍機や凍結後の品質を保つ保管設備は導入コストが大きく、稼働率を確保できなければ自社設備を持つメリットが出しにくいためです。

冷凍食品市場の拡大がOEM委託の追い風になっている

冷凍食品への商品開発投資は、市場全体の伸びを背景に活発化しています。日本冷凍食品協会の速報値によると、2025年の国内冷凍食品消費量は前年比3.6%増の約302万9千トンとなり、統計開始以来初めて300万トンを超えました。1人あたりの年間消費量も24.6kgと過去最高を更新しています※1。国内生産額(工場出荷額)も前年比6.4%増の8,577億円で、6年連続の増加となりました※2。

共働き世帯・単身世帯の増加による調理時間短縮ニーズ(タイムパフォーマンス志向)や、人手不足を背景とした業務用需要の高まりが、この成長を支えている要因として指摘されています※1。市場が拡大する局面では新規参入が増えやすいと考えられるため、自社で設備投資をする前にOEM委託でテスト販売を行い、需要を見極めてから量産体制を検討する進め方が現実的な選択肢になります。

自社設備での開発とOEM委託、判断のポイント

冷凍食品の商品開発を自社設備で行うかOEM委託にするかは、投資回収の見通しと商品化までのスピードで判断するのが実務的です。

比較軸 自社設備での開発 OEM委託
初期投資 急速冷凍機・冷凍倉庫などが必要で大きい 製造設備投資が不要、初期費用を抑えやすい
商品化までの期間 設備導入・稼働までに時間がかかる 既存設備を使うため比較的短期間
ノウハウ 冷凍技術・品質管理を自社に蓄積できる 工場側の技術・ノウハウを活用できる
生産量の柔軟性 稼働率次第でコストが変動しやすい ロット単位で発注量を調整しやすい
差別化のしやすさ 独自技術・独自レシピを守りやすい 複数社が同工場を利用する場合、差別化に工夫が必要

テスト販売や単発商品ではOEM委託、主力商品として長期展開する見込みが立った段階で自社設備を検討する、という段階的な進め方も選択肢です。

企画から量産までの6ステップ

冷凍食品のOEM委託は、一般的に次のような流れで進みます※3。

  1. 企画・商品設計 ターゲットや訴求点を明確にし、コンセプト、原材料の方向性、想定価格帯を整理する
  2. 委託先候補への相談・試作依頼 複数の工場に企画意図を伝え、試作可否と概算費用を確認する
  3. 試作・ヒアリング 試食と改良を重ね、レシピ・配合・調理仕上がりを詰めていく。発注側は、解凍後の食感・ドリップ、再加熱方法(電子レンジ・湯煎・オーブン)ごとの仕上がり、店の味との差の許容範囲を確認する
  4. 見積もり・仕様書作成・契約 商品仕様書をもとに原料費・加工費・包装費を分けて見積もりを取り、売買契約を締結する
  5. 食品表示・法令対応の確定 原材料表示、栄養成分表示、アレルゲン表示など、発売に必要な表示原稿を確定する
  6. 本製造・出荷体制の構築 量産を開始し、冷凍便での物流・保管体制を整えて発売する

試作段階では、試作費・原料費・設備稼働費・包装試作費が一括で見積もられがちですが、あらかじめ内訳を分けて依頼しておくと、量産時のコスト試算がしやすくなります※4。賞味期限の設定方法は食品の賞味期限設定方法|保存試験・安全係数・加速試験の進め方、店の看板メニューを商品化する場合の進め方は看板メニューを商品化するには?冷凍・レトルト物販参入の進め方をご覧ください。

費用相場とロットをどう考えるか

冷凍食品OEMの最低ロットは工場によって幅がありますが、100食程度からの小ロット対応をうたう工場もあれば、数千食単位を基本とする工場もあります※4。費用は主に次の要素で変動するため、複数社から見積もりを取り、条件をそろえて比較することが重要です。

費目 内容 費用に影響しやすい要因
原材料費 主原料・副原料の調達コスト 産地指定、希少原料の有無
加工費 調理・成形・急速冷凍にかかる費用 工程数、加工の複雑さ
包装費 パッケージ資材・充填費用 個包装の有無、意匠性の高さ
物流・保管費 冷凍便配送、倉庫保管料 工場から納品先までの距離、保管期間
その他事務費 JANコード取得代行、出荷前検査費など 依頼範囲の広さ

ロットが小さいほど1食あたりの単価は上がりやすい一方、需要が読めない新商品を大ロットで発注すると在庫リスクが高まります。テスト販売用の小ロットと量産時の想定ロットの両方を、見積もり依頼の段階で工場に伝えておくと、単価の変化を早い段階で把握できます。

費用構成と金額の目安

OEM情報サイト「食品OEMの窓口」の整理では、冷凍食品OEMの費用構成の目安は次のとおりです※7。あくまで情報サイトによる整理であり、個別の見積もりとは異なります。

費用項目 総コストに占める割合の目安
原材料費 40〜55%
製造加工費 20〜30%
急速凍結費 10〜20%
物流・保管費 15〜25%

物流・保管費については、同サイトで冷凍倉庫の保管費が坪あたり月額5,000〜15,000円、冷凍輸送費が常温便の2〜3倍とされています※7。

試作費については、別の記事で「数万円〜10万円程度が一般的」、最小ロット(MOQ)は「100〜3,000食/ロットが多く見られる」とされています※9。

委託先の規模による違い

同じ情報サイトでは、委託先の規模別に次のような目安が示されています※7。

委託先の区分 初期費用の目安 最低ロットの目安
大手メーカー 300万〜500万円以上 10万個〜
中小・専門メーカー 50万〜150万円程度 1万〜5万個

先に挙げた「100食程度から」の小ロット対応(※4)とは幅が大きく異なります。小ロット専門の工場から、大手の量産規模まで幅があると整理するのが実態に近いと考えられます。総額の全体像は商品開発を外注するといくらかかる?工程別の費用内訳と見積もりの見方で解説しています。

凍結方式で変わる品質と費用

冷凍食品は、凍結の方式によって向く食品と品質面の特徴が異なります。「食品OEMの窓口」の整理では、主な3方式は次のとおりです※7。

方式 凍結速度の目安 向く食品の例 品質・費用の傾向
エアブラスト(冷風式) 30分〜数時間 餃子、春巻き 標準的。設備の負担は比較的軽い
コンタクト(接触式) 10〜30分 切り身魚、ハンバーグ 品質は高いとされ、設備の負担は大きめ
液体窒素 数分以内 刺身、生菓子 品質は最高水準とされるが、設備の負担は最も大きい

設備投資は工場側が負担するため、委託する側に直接かかるわけではありません。ただし、方式によって設備の負担が異なるため、加工単価に反映される場合があります。商品の特性に合う方式かどうかは、試作の段階で委託先に確認します。

委託先の探し方

委託先の探し方には、主に次の3つがあります。

  1. 自治体のOEMマッチングサイト:たとえば宮城県の「みやぎOEM」は、ジャンルや地域、対応可能金額などの条件から委託先を検索できるサイトです※8。
  2. 業界団体・展示会:食品関連の団体や展示会で、委託先の候補と直接話す機会があります。
  3. OEM情報サイト・受託企業一覧:複数の工場を横断して比較できます。

比較の仕方や選定基準は食品OEM委託先の選び方|8つの選定基準と見積比較のポイントで解説しています。

OEM委託先を選ぶときに確認すべきポイント

委託先選定では、価格だけでなく次のような点を確認しておくと、量産開始後のトラブルを避けやすくなります。

  • 急速冷凍・保管の温度管理体制 品温を−18℃以下に保てる設備があるか。この基準は、かつて調理冷凍食品のJAS規格に定められていましたが、規格自体は2013年に廃止されており、現在は業界団体による自主基準として維持されています※5。法定義務ではない点を踏まえたうえで、品質担保の観点から確認する価値があります。
  • HACCPなど食品衛生管理の実施状況 衛生管理体制が可視化されているか
  • 小ロット・試作への対応実績 テスト販売段階の発注量に対応できるか
  • 食品表示・原材料調達の実務経験 想定するカテゴリーでの表示作成実績があるか
  • 冷凍便物流・倉庫体制 納品先までの配送手段と保管条件が自社の販路に合っているか

食品表示で見落としがちな注意点

冷凍食品は保存期間が長くなりやすいため、賞味期限の表示方法にも実務上の判断が必要です。消費者庁のガイドラインでは、期限が製造・加工の日から3か月を超える場合、年月日ではなく年月表示にできるとされています※6。冷凍食品の多くはこの条件に該当しやすく、パッケージデザインや在庫管理の観点から年月表示を選ぶ商品も見られます。

また、OEM委託先が表示原稿の作成を支援する場合でも、表示内容の適正性についての最終的な法的責任は、多くの場合、商品を販売する自社側にあります。委託先に「確認・助言」までを依頼するのか、「表示原稿の作成」まで依頼するのか、契約段階で役割分担を明確にしておくことが、発売後のリスクを減らすうえで重要です。表示原稿の作成を外部に依頼する場合は食品表示(一括表示)の作成代行|依頼先と費用、法令チェックの要点、レシピ情報を工場に渡す前の取り決めは商品開発の秘密保持契約(NDA)の注意点|レシピ・ノウハウの権利帰属を守るをご覧ください。

まとめ

冷凍食品市場は消費量・生産額ともに拡大を続けており、OEM委託を使えば自社に設備投資をせずに新商品を市場投入できます。委託の流れは企画・試作・契約・表示確定・量産という段階を踏むため、各段階で見積もりの内訳や役割分担を明確にしておくことが、費用のブレや発売後のトラブルを防ぐポイントです。ロットと費用のバランス、温度管理体制、食品表示の責任分担を早い段階で確認し、複数の委託先を比較したうえで進めることをおすすめします。

参考資料

  1. 一般社団法人日本冷凍食品協会「令和7年(1~12月)冷凍食品の生産・消費について(速報)」
  2. LNEWS「日本冷凍食品協会/2025年の冷食国内生産額は6.4%増で過去最高(速報)」
  3. 食品開発OEM.jp「食品製造会社にOEMを依頼する際の流れとは」
  4. Agriture「食品OEMの最小ロットとは?小ロット対応の食品工場の選び方を解説」
  5. 一般社団法人日本冷凍食品協会「冷凍食品の保管温度について」
  6. 消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(令和7年3月)
  7. 食品OEMの窓口「冷凍食品OEM費用を徹底解剖|急速凍結コスト比較」
  8. 宮城県「みやぎOEM」
  9. 食品OEMの窓口 冷凍食品OEMの解説ページ(試作費・最小ロットの記載)

FAQ

よくある質問

冷凍食品のOEM委託は、自社に製造ノウハウがなくても依頼できますか?
依頼できます。企画・レシピ設計から試作、量産化までを一貫して支援するOEM先が多く、原材料選定や栄養価計算、包装形態の提案まで任せられるケースが一般的です。ただし商品コンセプトや品質基準は自社側で明確にしておく必要があります。
小ロットでも冷凍食品のOEM委託は可能ですか?
可能ですが、ロットが小さいほど1食あたりのコストは割高になりやすい傾向があります。最低ロットは工場によって幅があるため、テスト販売段階では小ロット対応の実績がある工場を候補に加えて比較するとよいでしょう。
委託先の急速冷凍設備は何を基準にチェックすればよいですか?
品温を−18℃以下に保てる急速冷凍設備・保管体制があるかを確認しましょう。これは現在は法定のJAS規格ではなく業界の自主基準ですが※5、品質を安定させるうえで実務上の重要な判断材料になります。
食品表示の最終的な責任は誰が負いますか?
OEM委託先が原材料表示や栄養成分表示の作成を支援する場合でも、表示内容の適正性についての法的責任は、多くの場合、商品を販売する自社(販売者)側にあります。契約時に表示原稿の作成範囲と責任分担を明確にしておくことが重要です。
冷凍食品のOEM委託の費用はどのくらいかかりますか?
原材料費・加工費・凍結費・物流保管費の合計で、OEM情報サイトの整理では原材料費が全体の40〜55%を占めるとされています※7。最小ロットは100食程度から数千食単位、大手工場では10万個単位まで幅があるため、テスト販売用と量産時の両方のロットで見積もりを取ることをおすすめします。
OEM委託と商品開発コンサルへの依頼は、どちらを検討すべきですか?
OEM委託は主に製造を外部化する契約であるのに対し、商品開発コンサルは市場調査からOEM先選定、販路開拓までを含めて併走する支援です。工程を広く任せたい場合は新商品開発コンサルへの依頼ガイドも参考にしてください。

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