「自社が検討している業態は、外食産業全体のなかでどのくらいの規模なのか」「コロナ前と比べて伸びているのか、縮んでいるのか」を調べようとしても、公開されている統計は複数あり、対象年も区分も金額もそろっていないため、そのままでは横並びで比較しづらいのが実情です。本記事では、日本フードサービス協会・食の安全・安心財団の公開推計をもとに外食産業を15の業態区分に分け、「規模の順位」と「2019年(コロナ前)比の増減」という2つの軸で整理します。あわせて2025年のチェーン各社の動向や、調査機関によって市場規模の数字が異なる理由も確認します。
外食の業態別市場規模ランキング|値上げ後の客数・客単価と成長業態【2026年版】
この記事の集計方法と前提
本記事のランキングは、日本フードサービス協会・食の安全・安心財団の公開推計をそのまま順位に並べ替えたもので、編集部が独自に評価づけしたものではありません。
使用した統計は3つです。※1(食の安全・安心財団/日本フードサービス協会「外食産業市場規模推計」)は業態別の金額を示す最も基礎的な資料として使いました。※2(日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)は2025年の直近の動きを補うために、※3(富士経済の市場予測)は外食産業全体の見通しを確認するために使っています。
いくつか前提を共有します。※1の推計値は消費税を含む名目値で、分類は総務省の「日本標準産業分類」(平成14年改訂)に準じています。また2026年9月時点で、業態別の金額まで公開されている推計の最新版は2023年(令和5年)分であり、2024年・2025年分の業態別金額はまだ公開されていません。より新しい動きを知りたい場合は、次章以降で紹介する※2のチェーン動向調査で補う形になります。
外食の業態別 市場規模ランキング(2023年・全15区分)
外食産業計24兆1,512億円のうち、「食堂・レストラン」1区分で約4割を占め、上位3区分で6割近くに達します。
| 順位 | 区分 | 2023年の金額 | 構成比 | 対前年 | 2019年比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 食堂・レストラン | 9兆4,810億円 | 39.3% | +19.4% | △8.1% |
| 2 | 宿泊施設 | 2兆7,937億円 | 11.6% | +30.9% | △8.4% |
| 3 | その他の飲食店 | 1兆7,755億円 | 7.4% | +12.4% | +27.3% |
| 4 | バー・キャバレー・ナイトクラブ | 1兆5,493億円 | 6.4% | +35.3% | △37.7% |
| 5 | すし店 | 1兆4,974億円 | 6.2% | +15.6% | △3.2% |
| 6 | そば・うどん店 | 1兆3,774億円 | 5.7% | +25.4% | +4.8% |
| 7 | 喫茶店 | 1兆1,892億円 | 4.9% | +19.9% | +0.9% |
| 8 | 社員食堂等給食 | 1兆1,210億円 | 4.6% | +10.6% | △5.6% |
| 9 | 居酒屋・ビヤホール等 | 9,152億円 | 3.8% | +37.9% | △9.7% |
| 10 | 病院給食 | 7,513億円 | 3.1% | +2.8% | △4.9% |
| 11 | 学校給食 | 4,832億円 | 2.0% | +4.0% | +0.1% |
| 12 | 弁当給食 | 4,674億円 | 1.9% | +9.5% | △13.1% |
| 13 | 保育所給食 | 3,512億円 | 1.5% | △0.7% | △1.4% |
| 14 | 料亭 | 2,182億円 | 0.9% | +40.3% | △35.3% |
| 15 | 機内食等 | 1,802億円 | 0.7% | +73.3% | △33.6% |
出典:※1
上位区分の内訳です。1位「食堂・レストラン」は、ファミリーレストランや一般食堂、専門料理店等を含み、「レストラン業態」としてイメージされる範囲より広く定義されています。2位「宿泊施設」はホテル・旅館での食事・宴会などが対象です。3位「その他の飲食店」にはハンバーガー店やお好み焼き店が含まれます。4位「バー・キャバレー・ナイトクラブ」は対前年+35.3%と伸びましたが、2019年比△37.7%と15区分中で最もマイナス幅が大きい区分です。5位「すし店」は回転寿司を含む区分で、2019年比△3.2%と、上位区分のなかではコロナ前に近い水準まで戻っています。
なお、料理品小売業(いわゆる中食。事業所給食中の弁当給食を除く)7兆6,316億円は、外食産業計24兆1,512億円の外数です。これを加えた広義の外食産業市場規模は31兆7,828億円になります。業態区分ごとの立ち位置を調べる際の前提として、業態開発 の全体像とあわせて押さえておくと理解しやすくなります。
成長業態ランキング|2019年比でプラスになった区分
2023年時点でコロナ前(2019年)の水準を上回っていたのは、15区分のうち4区分にとどまります。
| 区分 | 2019年比 |
|---|---|
| その他の飲食店 | +27.3% |
| そば・うどん店 | +4.8% |
| 喫茶店 | +0.9% |
| 学校給食 | +0.1% |
| (参考・外数)料理品小売業 | +5.7% |
出典:※1
「その他の飲食店」に含まれるハンバーガー店は、※3の富士経済の調査でも好調な業態として名前が挙がっており、両者は整合的な結果と見ることができます。同様に喫茶店についても、※3ではコーヒーショップの好調が指摘されており、※1で喫茶店が2019年比プラスになっている点と符合します。「そば・うどん店」(立ち食いそば・うどん店を含む)は+4.8%とプラス幅は大きくありませんが、日常利用の業態として底堅く推移しているという見方ができます。「学校給食」(主として小中学校等の給食で、大学の学生食堂は含まない)は+0.1%とほぼ横ばいです。
外数である中食(料理品小売業)は+5.7%と、外食産業計より早く2019年水準を上回っています。テイクアウトやデリバリーを組み込んだ業態設計を検討する際の材料になり得る数字です。
縮小業態ランキング|2019年比でマイナス幅が大きい区分
マイナス幅が大きい上位3区分には、夜間の接待・宴会需要や移動に伴う需要と結びつきの強い区分が並んでいます。
| 区分 | 2019年比 |
|---|---|
| バー・キャバレー・ナイトクラブ | △37.7% |
| 料亭 | △35.3% |
| 機内食等 | △33.6% |
| 弁当給食 | △13.1% |
| 居酒屋・ビヤホール等 | △9.7% |
| 宿泊施設 | △8.4% |
| 食堂・レストラン | △8.1% |
| 社員食堂等給食 | △5.6% |
| 病院給食 | △4.9% |
| すし店 | △3.2% |
| 保育所給食 | △1.4% |
出典:※1
読み方は2通りに分かれます。1つは「対前年は大きく伸びているが2019年水準にはまだ届いていない」区分で、機内食等(対前年+73.3%、2019年比△33.6%)、料亭(対前年+40.3%、△35.3%)、居酒屋・ビヤホール等(対前年+37.9%、△9.7%)が該当し、回復途上にあると捉えられます。もう1つは「対前年の伸びも小さく、変動幅自体が小さい」区分で、保育所給食(対前年△0.7%)や病院給食(対前年+2.8%)が該当します。この2区分については、推計のなかで保育所給食の減少は在所者数の減少傾向、病院給食の増加は入院時食事療養費の増加が理由として挙げられており(※1)、景気や消費者の外食頻度よりも利用者数・制度側の要因が効きやすい区分だと読めます。
同じ「2019年比マイナス」でも、回復途上なのか、水準そのものが下方に移ったのかで打ち手は変わります。既存店の継続可否を判断する場面では、業態全体の水準と自店の推移を分けて見る必要があり、判断の枠組みは 新業態の撤退基準 の考え方が参考になります。
規模×成長率の2軸で業態を4象限に整理する
規模と2019年比を掛け合わせると、参入検討時に見るべき論点が象限ごとに変わってきます。
以下は※1の数値を編集部が2軸で並べ替えたものであり、独自の評価づけを加えたものではありません。
| 象限 | 該当区分 |
|---|---|
| ①規模が大きく2019年比プラス | その他の飲食店 |
| ②規模が大きく2019年比マイナス | 食堂・レストラン、宿泊施設、バー・キャバレー・ナイトクラブ、すし店 |
| ③規模が小さく2019年比プラス | そば・うどん店、喫茶店、学校給食 |
| ④規模が小さく2019年比マイナス | 居酒屋・ビヤホール等、機内食等、料亭 ほか |
①は規模と2019年比がともに上向いている象限ですが、「その他の飲食店」は区分内に含まれる業態の幅が広いため、どの価格帯・フォーマットが伸びているのかを分解して見極める作業が必要です。②は市場が大きい分だけ既存プレイヤーも多く、空いている価格帯・時間帯・立地を探す作業が欠かせなくなりやすい象限です。③は規模自体は大きくないものの、需要がコロナ前水準を維持または上回っており、限られた商圏で安定した需要を取りにいく設計と相性がよい場合があります。④は規模・成長率のいずれも上位ではありませんが、機内食等のように直近の対前年が大きく伸びている区分も含まれるため、区分単位の数字だけで判断せず個別に実態を確認することが望ましいといえます。
なお、この4象限はあくまで全国集計の話です。同じ区分でも、実際に出店を検討する商圏で需要がどう出ているかは全国統計からは分からないため、業態開発における商圏調査 で個別に確認する工程が必要になります。
直近の勢いを補う|2025年のチェーン業態別 売上・客数・客単価
2025年はチェーン各社の全店売上が全体で前年比107.3%となり、喫茶・ファーストフード・ファミリーレストラン・ディナーレストラン・パブレストラン/居酒屋の主要5業態はいずれも前年を上回りました。
| 業態 | 売上高 | 店舗数 | 客数 | 客単価 |
|---|---|---|---|---|
| 全体 | 107.3% | 100.7% | 102.9% | 104.3% |
| ファーストフード計 | 107.5% | 101.4% | 103.0% | 104.4% |
| 洋風 | 107.6% | 101.6% | 105.9% | 101.6% |
| 和風 | 109.8% | 102.3% | 101.1% | 108.5% |
| 麺類 | 108.9% | 101.0% | 103.9% | 104.9% |
| 持ち帰り米飯/回転寿司 | 102.9% | 99.7% | 96.0% | 107.2% |
| その他 | 106.0% | 101.8% | 101.3% | 104.6% |
| ファミリーレストラン計 | 107.2% | 99.5% | 103.1% | 103.9% |
| 洋風 | 107.0% | 97.7% | 103.5% | 103.4% |
| 和風 | 108.9% | 101.2% | 102.6% | 106.1% |
| 中華 | 110.2% | 102.6% | 104.3% | 105.7% |
| 焼肉 | 102.2% | 99.9% | 98.2% | 104.1% |
| パブレストラン/居酒屋 計 | 104.0% | 100.3% | 101.3% | 102.6% |
| パブ・ビアホール | 103.0% | 102.3% | 100.2% | 102.7% |
| 居酒屋 | 104.4% | 99.8% | 101.9% | 102.4% |
| ディナーレストラン | 106.6% | 102.0% | 106.0% | 100.6% |
| 喫茶 | 109.8% | 100.6% | 101.1% | 108.6% |
| その他 | 100.0% | 90.5% | 97.3% | 102.8% |
出典:※2
日本フードサービス協会の総括では、2025年は原材料費の上昇などによる客単価上昇(104.3%)が売上の押し上げ要因となったとされています。物価高のなかで節約志向が強まり、割引を行わない企業や価格が抑えられたファーストフード等への支持がみられた一方、年始・大型連休・お盆などハレの日の外食にはしっかり使うという消費の選別が進んだ、と説明されています。また4月から10月の大阪・関西万博開催と訪日外客数の過去最高更新も、「ディナーレストラン」などを中心に売上のプラス要因になったとされています。店舗数は「ファミリーレストラン」で減少傾向が続く一方、コロナ禍で店舗を減らした「パブレストラン/居酒屋」「ディナーレストラン」は前年を上回り始めており、出店意欲の回復がみられたとされています。
なお表の「その他」は売上100.0%・店舗数90.5%・客数97.3%と、主要5業態とは異なる動きになっています。業態別の平均値をそのまま自社の見通しに当てはめず、近い業態の行を選んで読むほうが実務では使いやすくなります。
※1(2023年・外食産業全体・税込)と※2(2025年・協会会員社の全店データ・税抜)は対象範囲も対象年も異なるため、単純に足し引きせず、それぞれの役割を分けて読む必要があります。
金額の回復と数量の回復は同じではない
2025年は客単価104.3%が客数102.9%を上回っており、売上の回復には価格の上昇分が含まれています。
業態によって、客単価の上昇幅が大きいものと客数の伸びが大きいものに分かれます。客単価の上昇幅が大きいのは、喫茶108.6%、和風ファーストフード108.5%、持ち帰り米飯/回転寿司107.2%です。一方、客数の伸びが大きいのはディナーレストラン106.0%、洋風ファーストフード105.9%で、いずれも客単価(それぞれ100.6%、101.6%)より客数の伸びが大きく、来店数の寄与が相対的に大きい組み合わせです。同じ「売上が前年超え」でも、価格で伸びているのか来店数で伸びているのかは業態によって中身が異なるため、自社の事業計画で売上前提を置く際は、どちらの前提を置いているのかを明示しておくと検証しやすくなります。
なかでも持ち帰り米飯/回転寿司は、客数96.0%と前年を下回る一方で客単価107.2%が売上を押し上げるという組み合わせになっています。客単価の上昇が客数の減少を補う形になったという見方ができますが、要因の断定はできません。また※1の2019年比の数字も消費税込みの名目値であるため、金額の変動には物価・価格改定の影響が含まれている可能性がある点は留意が必要です。価格帯の設計を検討する際は、高価格帯業態の開発 のポイントもあわせて確認することをおすすめします。
市場規模の数字が調査機関で違う理由と、稟議での使い分け
24兆1,512億円と35兆7,116億円はどちらも正しく、対象範囲・推計方法・対象年が異なるだけです。
| 出典 | 対象年 | 金額 | 定義の要点 | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|---|
| ※1 外食産業計 | 2023年 | 24兆1,512億円 | 日本標準産業分類に準じた区分、消費税込み | 業態別の内訳を示したいとき |
| ※1 広義の外食産業 | 2023年 | 31兆7,828億円 | 外食産業計+料理品小売業(弁当給食を除く) | 中食を含めた食の外部化全体を示したいとき |
| ※3 富士経済 | 2025年見込 | 35兆7,116億円 | 13カテゴリー118業態の独自区分 | 直近〜先行きの総市場を示したいとき |
社内資料で市場規模の数字を使う際は、金額だけを転記するのではなく、出典・定義・対象年をあわせて記載することをおすすめします。同じ「外食市場規模」という言葉でも定義が異なるため、出典を書かずに金額だけを載せると、稟議の場で別の数字を持つ相手と議論が噛み合わなくなることがあります。市場規模の記載方法は 業態開発の事業計画書の書き方 でも扱っています。
なお富士経済は2026年6月15日発刊の「外食産業マーケティング便覧2026 総市場分析編」(※4)でも、料飲店・喫茶・交通機関・レジャー施設・宿泊宴会場・弁当給食・テイクアウト・ホームデリバリーなどのカテゴリー別に市場規模や客単価の動向を分析しており、業態ごとの詳細な数値が必要な場合の情報源になります。
業態開発の判断にランキングをどう使うか
ランキングは参入先を決める答えではなく、検討の出発点として使うのが現実的です。
- 市場規模の大きさは、そのまま競合の多さを意味する場合があります。規模だけで参入先を決めるのではなく、空いている価格帯・時間帯・立地の有無をあわせて確認することが必要です。
- 2019年比は「その業態の需要構造がコロナ前に戻ったかどうか」を確認する指標として使えます。対前年の伸びが大きくても2019年比ではマイナスの区分もあるため、両方の数字を見る必要があります。
- 業態別の金額は公表ラグがあり、2026年9月時点の最新は2023年分です。直近の動きは※2のチェーン動向調査で補う必要があります。
- 自社の調達力・製造体制・人員体制との相性を、規模や成長率とあわせて検討する必要があります。統計上は同じ区分に入る業態でも、必要な調理工程や店舗運営の難易度はフォーマットによって大きく異なります。
- 統計の区分と、貴社が想定している業態の輪郭は一致しないことがあります。たとえば「食堂・レストラン」には専門料理店まで含まれるため、この区分の数字をそのまま単一フォーマットの市場規模として扱うと過大になりやすく、区分の定義を確認したうえで使う必要があります。
- 公開統計はあくまで仮説づくりの材料であり、最終判断は自社の商圏データとテストマーケティングで検証することが望ましいといえます。判断軸の立て方は 新業態立ち上げのKPI設計 と 新業態のテストマーケティング で詳しく解説しています。
まとめ
外食産業計24兆1,512億円のうち、「食堂・レストラン」が約4割を占める一方、2019年比でプラスを維持しているのは「その他の飲食店」「そば・うどん店」「喫茶店」「学校給食」の4区分にとどまります。市場規模の大きさとコロナ前比の増減は一致するとは限らず、両方の軸で見ることで検討すべき論点が変わってきます。業態別の金額は2023年分が最新であるため、直近の動きは2025年のチェーン動向調査で補い、最終的な参入判断は自社の商圏データとテストで確認していく進め方が現実的です。
参考資料
※1 令和4年・5年(各年1月〜12月)外食産業市場規模推計について|食の安全・安心財団/日本フードサービス協会 ※2 外食産業市場動向調査 令和7年(2025年)年間結果報告|日本フードサービス協会 ※3 外食産業の国内市場は2025年に35兆7,116億円の見込|富士経済 ※4 外食産業マーケティング便覧2026 総市場分析編|富士経済
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