商品開発の専門知識を持つ外部の「顧問」を採用したいが、どこで探せばよいか分からない食品メーカー・飲食チェーンの担当者は少なくありません。本記事では、商品開発顧問の具体的な探し方の選択肢と、契約前に見極めるべきチェックポイントを実務目線で解説します。
商品開発顧問の探し方|どこで見つける?選定チェックポイントを解説
なぜ今、商品開発顧問を外部から探す企業が増えているのか
かつて外部人材の活用は大企業の専売特許というイメージがありましたが、近年は状況が変わりつつあります。リクルートのジョブズリサーチセンターが実施した調査によれば、従業員の兼業・副業を認める人事制度がある企業の割合は60.7%に達しており(※1)、専門性を持つ人材が本業を続けながら他社の商品開発に携わる働き方が、企業側・個人側の双方で受け入れられやすい環境が整ってきています。
中小企業庁がまとめた活用事例でも、事業計画の策定や商品開発プロジェクトに副業・兼業人材を迎え入れ、自社にないノウハウの獲得につなげた企業の取り組みが紹介されています(※2)。商品開発の専門人材を正社員として通年雇用するのではなく、必要な期間・工程だけ外部の顧問に依頼するという選択肢は、採用コストや教育コストを抑えつつ即戦力を得られる方法として、食品メーカーや飲食チェーンの間でも現実的な選択肢になりつつあります。
商品開発顧問の契約形態や費用相場については、商品開発顧問とは?契約形態と月額費用相場、コンサルとの違いを解説で詳しく解説していますので、費用感を先に把握したい方はあわせてご確認ください。
商品開発顧問を探す4つの方法
商品開発顧問の探し方は、大きく4つに分類できます。それぞれの特徴とメリット・デメリットを整理します。
1. プロ人材・副業人材マッチングサービスを利用する
食品・飲食領域の商品開発経験者に絞って検索できるマッチングサービスに登録し、募集要件を出す方法です。フリーランス協会が運営する「求人ステーション」には、2025年度時点で23社31サービスの認定マッチング事業者が参画しており(※3)、業界特化型からゼネラリスト型まで複数の選択肢から自社に合うサービスを選べます。母数が多いため候補者を比較検討しやすい一方、応募が集まった後の面談・見極めに一定の工数がかかります。
2. 業界団体・展示会での紹介を活用する
食品業界の展示会や商工会議所などが主催するマッチングイベントでは、専門人材との接点が設けられていることがあります。対面で経歴や人柄を直接確認できるため、書類だけでは分かりにくい実務スタイルの相性を判断しやすいのが利点です。ただし開催時期が限られるため、急ぎで顧問を探したい場合には不向きです。
3. 既存の取引先(OEMメーカー・原材料商社)から紹介を受ける
すでに取引のあるOEMメーカーや原材料商社の担当者に「商品開発に強い人を知らないか」と相談する方法です。取引先はすでに自社の商品カテゴリーや取引条件を理解しているため、的外れな紹介を受けにくいという利点があります。紹介経由の場合、費用面の希望が伝えやすいというメリットもありますが、選択肢の幅は他の方法より狭くなりがちです。
4. SNS・専門メディアでの発信者に直接打診する
商品開発や食品業界の専門メディア、SNSで実務知見を発信している人物に、直接コンタクトを取る方法です。発信内容から専門領域や考え方の傾向をあらかじめ把握できるのが強みですが、発信活動と実務遂行力は必ずしも一致しないため、後述するチェックポイントでの見極めが特に重要になります。
| 探し方 | スピード感 | 比較のしやすさ | 相性の見極めやすさ |
|---|---|---|---|
| マッチングサービス | 速い | 高い(母数が多い) | 面談回数次第 |
| 業界団体・展示会 | 開催時期に依存 | 中程度 | 高い(対面のため) |
| 取引先からの紹介 | 中程度 | 低い(選択肢が少ない) | 中程度(事前情報あり) |
| SNS・メディア発信者 | 速い | 中程度 | 発信内容次第 |
候補者を見極める5つのチェックポイント
探し方が見つかっても、契約前の見極めを誤るとミスマッチにつながります。以下の5点は、契約前に必ず確認しておきたいポイントです。
実務経験の「守備範囲」を具体的に確認する
「商品開発経験がある」という言葉だけでは、味づくり・パッケージ設計・原価計算・法規対応・量産移管のどこを担当していたのかが分かりません。自社が求める工程と候補者の得意領域が一致しているかを、具体的な質問で確認する必要があります。
稼働条件を書面レベルで擦り合わせる
月あたりの稼働時間、訪問またはオンライン打合せの頻度、繁忙期の対応可否は、契約前に明文化しておくべき項目です。口頭合意のまま進めると、稼働開始後に「思っていたより関わってもらえない」というトラブルが起きやすくなります。
過去の成果物・実績を解像度高く語れるかを見る
守秘義務契約により具体的な商品名や取引先名を開示できない候補者は珍しくありません。その場合でも、担当した工程・立場・期間・直面した課題とその解決策を具体的な言葉で説明できるかどうかで、実務経験の深さをある程度判断できます。抽象的な説明に終始する場合は注意が必要です。
契約形態と費用感を早い段階で擦り合わせる
月額顧問料型、プロジェクト単価型、成功報酬型など、契約形態によって費用感は大きく異なります。自社の予算感と候補者の希望条件にギャップがある状態で選考を進めても、最終段階で契約に至らないケースが多いため、早い段階で条件面をすり合わせておくことが重要です。顧問と正社員採用のどちらが自社に適しているかで迷う場合は、商品開発は「顧問」と「正社員採用」どちらが良いか|費用と体制で比較する判断基準も参考になります。
社内メンバーとの相性・コミュニケーションスタイル
商品開発は営業・製造・品質保証など複数部署と連携しながら進めることが多いため、専門知識だけでなく、社内メンバーと円滑にやり取りできるコミュニケーションスタイルかどうかも重要な判断材料です。初回の打合せで、質問への回答の仕方や提案の仕方を観察しておくとよいでしょう。
探し方でよくある失敗と回避策
商品開発顧問探しでよく見られる失敗には、共通したパターンがあります。
- 費用の安さだけで選んでしまう:安価な条件を提示する候補者が、必ずしも自社の求める専門領域に強いとは限りません。費用と実務経験の両面から総合的に判断することが重要です。
- 稼働条件を曖昧にしたまま契約する:前述のとおり、稼働時間や対応頻度を明文化しないまま契約すると、双方の期待値のズレがトラブルの原因になります。
- 担当領域を絞らずに募集をかける:「商品開発全般をお願いしたい」という漠然とした募集要件では、候補者側も何を提案すればよいか判断しづらく、ミスマッチが起きやすくなります。求める工程を具体的に言語化してから探し始めることが、遠回りに見えて最も確実な近道です。
まとめ
商品開発顧問の探し方には、プロ人材マッチングサービス・業界団体や展示会・既存取引先からの紹介・SNSや専門メディアでの発信者への打診という4つの選択肢があり、それぞれスピード感や比較のしやすさが異なります。どの方法で探す場合でも、実務経験の守備範囲・稼働条件・過去の実績・契約形態と費用感・社内との相性という5つのチェックポイントを契約前に確認することで、ミスマッチのリスクを大きく減らすことができます。まずは自社が求める専門領域を具体的に言語化するところから始めてみてください。
参考資料
FAQ