本文へ移動
旨味転生Umami Tensei
02Product Development商品開発

食品の商品開発にかかる期間は?企画〜発売までの工程別スケジュールと延びる要因

執筆: 旨味転生編集部読了目安 約9分

食品の商品開発にかかる期間は、食品に限らない一般的な商品開発の解説では、最短で約5か月、標準的には1年前後とされています。食品ではここに表示ラベルの確定や賞味期限の試験が加わるため、貴社の商品がどこに当てはまるかは、工程を分解して見積もる必要があります。本記事では、企画から発売までの工程別の目安、食品特有の工程で加わる期間、発売日から逆算して計画を立てる手順を、公開情報の出典付きで整理します。

標準期間は「1年前後」とされるが、前提を確認する

商品開発の標準的な期間は、食品に限らない一般論として「最短で約5か月、標準的には1年前後」とされています。Makuakeの解説では、市場リサーチから量産・市場投入までを6工程に分け、全体を最短約5か月、標準で約1年前後と示したうえで、食品・化粧品などは認証・届出の期間が追加されると注記しています※1。

この数字を使うときは、2つの前提に注意が必要です。1つ目は、出典が食品専用の調査ではないことです。2つ目は、全体の期間が「どこから数えるか」で変わることです。企画の着手から数えるのか、社内でコンセプトが固まった時点から数えるのか、委託先との契約締結から数えるのかによって、同じプロジェクトでも期間は変わります。社内で「開発期間」という言葉を使う際は、起点と終点を先にそろえておくと、委託先との認識のずれを避けやすくなります。

工程別の期間目安

一般的な6工程の期間目安に、食品で加わる工程を重ねると、全体像は次のように整理できます。

工程 期間の目安 区分 出典
市場リサーチ 2〜4週間 一般 ※1
ターゲット設定 1〜2週間 一般 ※1
コンセプト策定 2〜3週間 一般 ※1
施策と採算の設計 2〜4週間 一般 ※1
試作・テストマーケティング 1〜3か月 一般 ※1
量産・市場投入 2〜6か月 一般 ※1
表示ラベルの確定 2〜6週間 食品で追加 ※5
栄養成分の分析 8営業日(至急の場合5営業日) 食品で追加 ※6
賞味期限の試験 加速試験で数週間〜数か月、リアルタイムは目標期限に準じた日数 食品で追加 ※5
機能性表示食品の届出 販売日の60営業日前まで 該当する場合のみ ※7

表の上6行は食品に限らない一般的な目安で、下4行が食品で追加される工程です。6工程の期間を単純に合計すると、およそ7か月前後から1年強の範囲に収まる計算になりますが、これは各工程を順番に進めた場合の算術上の合計であり、実際には工程の重なりや手戻りで変わります。

食品で加わる4つの期間

表示ラベルの確定

TasteLinkの食品メーカー向け解説では、製品名から最終校了までの表示ラベル確定に2〜6週間を見込む必要があるとされています※5。配合が確定してからでないと一括表示の原材料順や添加物表記が決まらないため、配合確定前から品質保証部門と並行して進める、取引先のガイドラインへの適合を調整する、といった工夫が紹介されています。

2026年4月1日には、特定原材料に「カシューナッツ」が追加されて9品目になりました。経過措置は2028年3月31日までとされています※9。原材料の見直しや表示の確認が必要になる商品では、その確認期間も表示確定の工程に含めておくと安全です。

栄養成分の分析

栄養成分を分析で求める場合、検査機関の納期が工程に入ります。日本食品分析センターの公開情報では、栄養成分表示基本セットは納期8営業日、至急対応で5営業日とされています※6。パッケージの校了日から逆算するときは、試作が確定してから分析に出すまでの準備日数も加味する必要があります。

賞味期限の試験

賞味期限は、食品を製造・加工した企業等が科学的な検査等に基づいて決めるものです。東京都の案内では、微生物・理化学・官能などの保存試験を行うことや、科学的に得られた限界より短い期限を設定して安全側に見ることが説明されています※8。

期間の面では、リアルタイムの保存試験は目標とする賞味期限に準じた日数が必要になる一方、高温条件で行う加速試験を併用すれば数週間〜数か月で初期判断が可能とされています※5。賞味期限を長く設定したい商品ほど、試験の組み立てを早い段階で決めておく必要があります。賞味期限の設定方法そのものは、食品の賞味期限設定方法|保存試験・安全係数・加速試験の進め方で詳しく解説しています。

機能性表示食品の届出

機能性表示食品として販売する場合は、販売日の60営業日前までに消費者庁長官へ届け出る必要があります。新規成分等で表示内容の確認に時間を要すると消費者庁長官が認める場合は、120営業日前までとされています※7。60営業日は、週5営業日で単純計算すると12週間にあたり、祝日を挟めばさらに延びます。届出の費用や流れは機能性表示食品の開発委託|届出支援込みの費用相場と流れで整理しています。

依頼先と商品カテゴリによる公開例

期間は、依頼先や商品カテゴリによっても公開されている目安が異なります。ここでは、公開されている事業者の事例を示します。事例は各社の条件に基づくもので、すべての依頼先に当てはまるわけではありません。

事例 公開されている期間の情報 出典
食品OEMの受託事業者(宮城県のOEMマッチングサイト掲載) 企画から本格製造まで3〜6か月、試作品の製作に1か月、試作3回までは受託側負担 ※4
スイーツの試作代行事業者 商品化までの総期間は最短3か月・平均1年、長期は数年。試作1回に約1か月、平均3回の試作 ※3
開発・生産・営業を同時並行で進める方式(食品以外を含む一般例) 早ければ3か月 ※2

OEMの例では、試作の回数や負担の条件が期間と費用の両方に関わっています。スイーツの例では、「契約締結から試作開始まで約1か月、試作・分析・検討に約6か月」という12か月の標準的な流れが示されています※3。いずれも、試作1回に約1か月を要するという前提が、全体の期間を左右している点は共通しています。

小売への導入まで含めると期間が延びる

商品が完成しても、取引先に導入されるまでの期間が別にあります。TasteLinkの解説では、得意先へのベンダー登録から店頭投入まで4〜8か月が実務的な目安とされています※5。販路が卸や小売である場合は、「製品が完成する日」ではなく「店頭に並ぶ日」から逆算して計画を組む必要があります。

期間が延びやすい5つの要因

公開情報や工程の構造から整理すると、期間が延びやすい要因は次の5つです。ここでの整理は編集部によるもので、すべての案件に当てはまるとは限りません。

  • 試作の回数が増える:試作1回に約1か月を要する例があるため※3、2回増えれば全体が2か月延びる計算になります。
  • 配合が確定しない:表示ラベルの確定は配合の確定に依存します。配合が動き続けると表示や分析の工程に着手できません。
  • 賞味期限を長く設定したい:リアルタイムの保存試験は目標期限に準じた日数が必要になるため※5、期限の目標が長いほど試験の設計が重要になります。
  • 届出や認証が必要になる:機能性表示食品のように、販売前に行政への届出が必要な商品では、60営業日前という期限が逆算の起点になります※7。
  • 社内の承認が滞る:試作の評価や表示案の確認の承認が遅れると、委託先の作業が止まります。社内の意思決定者と承認の頻度を、開発の着手前に決めておくことが大切です。

発売日から逆算して計画を立てる手順

標準期間を知るだけでは、貴社の発売日に間に合うかどうかは分かりません。実務では、発売日(または店頭投入日)から後ろ向きに工程を並べる方法が分かりやすいと考えられます。

  1. 発売日・店頭投入日を決める:卸や小売に導入する場合は、ベンダー登録から店頭投入まで4〜8か月という目安※5を踏まえ、導入の起点を先に確定します。
  2. 届出が必要か確認する:機能性表示食品に該当する場合は、販売日の60営業日前を最終の期限として計画に置きます※7。
  3. 表示と包材の校了日を置く:表示ラベル確定に2〜6週間※5、栄養成分分析に8営業日※6を見込み、校了日から逆算して試作の確定日を置きます。
  4. 賞味期限試験の開始日を置く:加速試験を併用する場合でも数週間〜数か月を要するため※5、配合確定の直後に試験を始められるよう日程を置きます。
  5. 試作の回数と1回あたりの期間を置く:試作1回を約1か月、3回前後という公開例※3を仮の置き値にし、委託先から実際の条件を確認して差し替えます。
  6. 企画・調査の期間を最初に置く:市場リサーチからコンセプト策定までを、一般的な目安である数週間〜2か月程度で置き、社内の承認日を決めておきます※1。

この手順で並べたときに、現在の日付から見て発売日に収まらない場合は、発売日を動かすか、並行できる工程を探すかの判断が必要になります。並行の例として、開発・生産・営業をほぼ同時に動かす方式で、早ければ3か月で行えたとする例が紹介されています※2。ただしこれは食品に限らない一般的な例であり、食品では表示確定や賞味期限試験の順序を守る必要があります。短縮を狙う場合も、並行できる工程と順番を守る工程を分けて検討することが前提です。

委託先に確認しておきたい期間の条件

外部に開発を委託する場合は、見積もりと同時に期間に関わる条件も確認しておくと、後からの認識のずれを減らせます。

  • 契約締結から試作の開始までに何日かかるか
  • 試作1回あたりの所要日数と、基本料金に含まれる試作回数
  • 試作品の確認後、修正版が出るまでの日数
  • 表示ラベル・栄養成分分析・賞味期限試験を、どちらが手配するか
  • 量産の初回ロットの納期と、最小ロットの条件

費用の観点からの確認事項は、商品開発を外注するといくらかかる?工程別の費用内訳と見積もりの見方で整理しています。契約書への落とし込みは、商品開発を外注する際の契約書ひな形|必須条項と知財の注意点も参考になります。業態開発の期間については、業態開発にかかる期間はどれくらい?企画〜出店までの標準スケジュールで別途解説しています。

まとめ

食品の商品開発にかかる期間は、一般的な商品開発の解説では最短約5か月・標準で1年前後とされ、食品OEMの受託事業者の公開例では、企画から本格製造まで3〜6か月とするものもあります。ただし前者は食品専用の数字ではなく、後者は特定の事業者の条件です。食品では表示ラベルの確定に2〜6週間、栄養成分分析に8営業日、賞味期限の試験に数週間〜数か月といった期間が加わり、機能性表示食品では販売日の60営業日前の届出期限も意識する必要があります。標準期間をそのまま当てはめるより、発売日または店頭投入日から逆算し、試作回数や委託先の条件を確認しながら貴社なりのスケジュールを作ることが、現実的な進め方と考えられます。

参考資料

※1 Makuake「商品開発とは? 流れ・プロセスの全体像と進め方を解説【事例付き】」 ※2 株式会社COLLATE「#08 商品開発〜発売までの流れ」 ※3 ケークアバンチュール「スイーツ商品開発の所要期間の平均は~着手からゴールまでの流れ~」 ※4 つながる みやぎのOEM(宮城県)掲載「海藻専門店SEASON(株式会社阿部伊組)」 ※5 TasteLink「新商品開発の流れを食品メーカー実務で解説」(2026年6月25日) ※6 一般財団法人日本食品分析センター「食品表示基準・食品成分表」 ※7 東京都保健医療局「食品衛生の窓|栄養成分表示(機能性表示食品)」 ※8 東京都保健医療局「消費期限・賞味期限は、誰がどのように決めているのでしょうか?【食品安全FAQ】」 ※9 大阪府「食品表示(事業者の方へ)」

FAQ

よくある質問

食品の商品開発は、企画から発売までどのくらいかかりますか?
食品に限らない一般的な商品開発では、最短で約5か月、標準的には1年前後とする解説があります。食品OEMの受託事業者の中には、企画から本格製造まで3〜6か月と案内している例もあります。商品の新規性や試作回数、届出の要否によって幅が出るため、目安として捉えてください。
試作は何回くらい行うものですか?
公開されている例では、スイーツの試作代行で平均3回の試作を行い、1回あたり約1か月かかるとされています。別の食品OEM事業者の例では、試作3回までを自社負担とする条件が示されています。回数と期間は依頼先ごとの条件で変わります。
賞味期限の設定には、どのくらいの期間が必要ですか?
リアルタイムの保存試験は目標とする賞味期限に準じた日数が必要になる一方、高温条件で行う加速試験を併用すれば数週間〜数か月で初期判断ができるとされています。ただし試験の組み立ては商品特性によって異なるため、早い段階で試験計画を相談しておくことが大切です。
機能性表示食品は発売の何日前までに届出が必要ですか?
販売日の60営業日前までに消費者庁長官へ届け出る必要があります。新規成分等で表示内容の確認に時間を要すると消費者庁長官が認める場合は、120営業日前までとされています。暦日ではなく営業日で数える点に注意が必要です。
開発期間を短くする方法はありますか?
開発・生産・営業をほぼ同時に動かす方式で、早ければ3か月で行えるとする例があります。ただしこの例は食品に限らない一般的な事例です。食品では表示確定や賞味期限試験が加わるため、並行できる工程と、順番を守る必要がある工程を分けて計画することが前提になります。

Free Consultation

商品開発・業態開発のお悩み、
まずはご相談ください。

初回ヒアリングは無料です。商品開発のご相談は旨味転生へお問い合わせください。

無料でお問い合わせする

Start here

商品開発の基本記事

Related

Themes

テーマから探す