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食品開発の用語集50選|OEM・PB・試作・ロットを工程順に解説

執筆: 旨味転生編集部読了目安 約22分

食品の商品開発の会議では、「OEM」「PB」「ロット」「歩留まり」「安全係数」といった用語が飛び交います。一般的な食品用語辞典は50音順で衛生・認証に関する語が中心のため、企画から表示までの実務工程で使う語を探しにくいと感じることも多いのではないでしょうか。本記事では、商品開発で使われる50の用語を実務工程6段階の順に並べ、一次情報に基づく制度上の用語と、業界慣行としての呼び方を区別しながら解説します。

この用語集の並べ方と、語釈の根拠の扱い方

本記事の50語は、次の6章に分けて実務工程の順に並べています。

  • 第1章 企画・マーケティングの用語(8語)
  • 第2章 委託形態と契約の用語(9語)
  • 第3章 レシピ・配合設計の用語(8語)
  • 第4章 試作・量産化の用語(9語)
  • 第5章 品質保証・期限設定の用語(8語)
  • 第6章 表示・法規制の用語(8語)

語の選定は、消費者庁・農林水産省・公正取引委員会が公開している一次情報と、食品の商品開発の実務工程をもとに編集部が行いました。範囲は企画書・仕様書・契約書・製品規格書といった意思決定文書に登場する語に絞り、個別の製造機器名や衛生管理の細目は含めていません。

語釈の根拠は2種類に分けて扱っています。本文中の※1〜※11は、消費者庁・農林水産省・公正取引委員会・業界団体が公開している一次情報です。一方で「ミニマムロット」「上代・下代」「加速試験」「ラボ試作」などは法令上の用語ではなく業界慣行の呼び方であり、会社ごとに定義が異なる場合があります。これらの語を使う箇所では、そのつど「業界慣行の呼び方」であることを明記しています。店舗側の業態設計で使う指標語(FL比率・坪効率など)は本記事では扱っていないため、必要な場合は業態開発の用語集45選をご覧ください。

第1章 企画・マーケティングの用語(8語)

企画書やバイヤーへの提案の段階で出てくる語群です。この章の語はほとんどが法令に根拠を持たず、社内と流通の共通言語として使われています。

用語 読み・略語の意味 要点
商品コンセプト 商品が誰にどんな価値を提供するかを示す概念 企画書の冒頭に置かれることが多く、以降のターゲット設定や配合設計の判断基準になります。
ターゲットと利用場面(TPO) Time・Place・Occasionの略で、いつ・どこで・どんな場面で食べるかを指す 中食か外食かといった食べ方の想定によって、配合や容量の検討方向が変わります。
売場・カテゴリー(棚) 店舗内でどの棚に並ぶかという分類 同じ棚に並ぶ既存商品との価格帯・容量のバランスが検討材料になります。
中食(※10) 惣菜など調理済み食品を持ち帰って食べる形態 日本惣菜協会が2026年4月14日に発表した2025年の惣菜市場規模は11兆7,075億円(前年比103.7%)で、業態別ではコンビニエンスストアが3兆6,044億円(構成比30.8%)、惣菜専門店が3兆2,020億円(前年比104.2%)とされています(※10)。どの業態の棚を狙うかで、容量・価格帯・日持ちの要件が変わります。
定番とスポット(期間限定) 通年で並ぶ定番品と、期間を切って販売するスポット品の呼び分け スポット品は試作・量産のスケジュールが短くなりやすく、委託先との調整期間の確保が論点になります。
上代・下代(業界慣行の呼び方) 上代は末端の販売価格、下代は卸・仲間内の取引価格を指す業界慣行の呼び方 法令上の用語ではなく会社ごとに使い方が異なる場合があるため、契約書では価格の算定根拠を明記しておくことが望ましいといえます。
値入率(業界慣行の呼び方) 販売価格に対してどれだけの粗利を確保できるかを示す割合の呼び方 上代・下代と同様に業界慣行の呼び方であり、社内の会計上の用語と一致しない場合があります。
改廃(リニューアル) 既存商品を終了・入れ替えること 期限設定のガイドラインも、商品アイテムが膨大で商品化までの日数が短く、商品の改廃のサイクルが早いという食品を取り巻く現状に触れています(※1)。改廃の頻度は表示や期限設定を見直すタイミングにも関わります。

この章でつまずきやすいのは、上代・下代や値入率のように、社内の会計上の用語と流通の慣行語が同じ会議で混ざる点です。企画書の数字が上代基準か下代基準かを明記しないまま原価の議論に入ると、原材料費の許容幅の認識がずれやすくなります。委託先の選定を検討する段階では食品OEMの委託先の選び方、PBとして販売する場合はPB商品の開発依頼の流れを先に確認しておくと、企画段階の言葉と契約段階の言葉のずれを防ぎやすくなります。

第2章 委託形態と契約の用語(9語)

製造をどこに委託し、どのような契約で進めるかという段階で出てくる語群です。この章には2026年1月に呼び方が変わった法令用語が含まれます。

用語 読み・略語の意味 要点
OEM Original Equipment Manufacturerの略で、委託者のブランドで製造を受託する取引形態 ブランドの帰属ではなく製造委託という取引形態を指す語で、PBかNBかとは別の軸で整理する必要があります。
ODM Original Design Manufacturerの略で、設計・開発まで含めて受託する形態 OEMより上流の企画・レシピ設計まで委託先が担う場合に使われます。
PBとNB PBは販売者側の自社ブランド(プライベートブランド)、NBは製造者側のブランド(ナショナルブランド) PB商品をOEMで作ることは多いものの、OEMで作られた商品がPBであるとは限らない点に注意が必要です。
受託製造(コパッカー)(業界慣行の呼び方) 製造を受託する工場を指す業界慣行の呼び方 法令上の定義ではなく、契約書では「委託先」「製造委託先」など取適法の用語に沿った表記に置き換えることが望ましいといえます。
監修 開発内容の一部について助言・確認を行う関わり方 開発の主体はあくまで発注側にあり、共同開発とは責任の負い方が異なります。
ネームライセンス(名義使用) 名称やブランド名の使用を許諾する契約形態 監修や共同開発と異なり、商品開発そのものへの関与を伴わない場合があるため、契約書で関与の範囲を明記しておく必要があります。
共同開発 発注側と受託側が企画・レシピ設計の双方に関与する開発形態 監修より関与が深く、知的財産の帰属や秘密保持の取り扱いが契約書の論点になりやすいです。
NDA(秘密保持契約) Non-Disclosure Agreementの略 企画内容やレシピ情報を委託先と共有する前に締結し、開示範囲や目的外利用の禁止を定めます。
取適法 中小受託取引適正化法の略称。旧称は下請法 2026年1月1日施行の改正により、親事業者は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者、下請代金は委託代金と呼び方が変わりました(※8・※9)。対象取引には物品の製造・修理委託、特定運送委託、情報成果物作成・役務提供委託が含まれ、委託事業者には書面交付義務・支払期日の定め・書類保管義務があり、不当な代金減額や返品強要等が禁止されています(※8)。

委託形態を表す語は、取引の形(OEM・ODM)とブランドの帰属(PB・NB)という別の軸が混在しやすく、契約書の条文でどちらの意味で使っているかを確認する必要があります。契約書の雛形を整備する際は商品開発の外注契約書のひな形や商品開発のNDAの注意点を、監修と共同開発の切り分けは監修と共同開発の違いを確認しておくと、条項の抜け漏れを防ぎやすくなります。

第3章 レシピ・配合設計の用語(8語)

原材料の組み合わせと量を決める段階で出てくる語群です。添加物の表示免除に関わる2語(キャリーオーバー・加工助剤)は、消費者庁が定義を示しているため原文に沿って整理します。

用語 読み・略語の意味 要点
配合(処方) 原材料の種類と量の組み合わせを指す語 レシピの技術文書としての呼び方で、試作・量産化の各段階で更新されます。
配合率 各原材料が全体に占める割合 原材料規格書や栄養成分表示の算定の基礎になります。
原材料規格書(スペックシート)(業界慣行の呼び方) 原材料ごとの規格・産地・アレルゲン情報等をまとめた文書の業界慣行の呼び方 委託先から取り寄せる文書で、複合原材料やキャリーオーバーの確認にも使います。
複合原材料 2種類以上の原材料からなる原材料 一括表示や特定原材料の表示を検討する際に、複合原材料の内訳を確認する必要があります。
キャリーオーバー(※2) 「食品の原材料の製造又は加工の過程において使用され、かつ、当該食品の製造又は加工の過程において使用されないものであって、当該食品中には当該添加物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないもの」(※2) 例として、クッキーに使用したマーガリンに含まれる乳化剤が挙げられています(※2)。原材料側の工程で入ったものが対象という点が、加工助剤との分かれ目になります。
加工助剤(※2) 「原材料に起因してその食品中に通常含まれる成分と同じ成分に変えられ、かつ、その成分の量を明らかに増加させるものではないもの又は当該食品中に含まれる量が少なく、かつ、その成分による影響を当該食品に及ぼさないもの」(※2) 例として、次亜塩素酸ナトリウムを野菜等の殺菌のために使用し、その後洗浄除去する場合が挙げられています(※2)。自社の製造工程で使って残さないものが対象です。
官能評価と官能検査(※1) 人の感覚によって品質を評価する方法。官能評価は嗜好の確認、官能検査は品質の判定に用いられる 期限設定のガイドラインは、理化学試験・微生物試験・官能検査等で数値化が可能な項目を「客観的な項目(指標)」と位置づけ、官能検査についても適切にコントロールされた条件下で適切な被験者により的確な手法で評価された場合は客観的な項目とすることが可能としています(※1)。
嗜好型と分析型(業界慣行の区分の呼び方) 嗜好型は好き嫌いを確認する評価、分析型は差異や品質特性を識別する評価という業界慣行の区分 官能評価と官能検査のどちらの目的で行うかを、依頼時にあらかじめ切り分けておくことが望ましいといえます。

この章でつまずきやすいのは、キャリーオーバーと加工助剤の切り分けです。どちらも添加物の表示を省略できる考え方ですが、キャリーオーバーは原材料の製造・加工の過程で使われ自社の工程では使っていないもの、加工助剤は自社の工程で使って除去・中和等により残さないものを指しており、対象になる工程が異なります(※2)。委託先から取り寄せた原材料規格書には複合原材料の内訳とあわせてこれらの情報が混在するため、どの項目がどちらに当たるかを確認しながら読む必要があります。保存条件が配合の制約になる開発を検討する場合は冷凍食品の開発委託も参考になります。

第4章 試作・量産化の用語(9語)

配合を実際の設備で再現し、量産に持っていく段階の語群です。数量や期間を指す語が多く、そのほとんどが法令用語ではなく業界慣行の呼び方です。

用語 読み・略語の意味 要点
ラボ試作(ベンチスケール)(業界慣行) 小規模な設備で少量を試作する段階の業界慣行の呼び方 配合の方向性を確認する初期段階で行われ、量産設備での再現性はライン試作で確認します。
ライン試作(パイロット試作)(業界慣行) 量産に近い設備で試作する段階の業界慣行の呼び方 ラボ試作で決めた配合が実際の製造ラインでも同じ品質で再現できるかを確認します。
スケールアップ 試作の規模を量産規模へ引き上げる工程 配合や工程条件が規模によって変化する場合があり、ライン試作の結果を踏まえて調整します。
歩留まり(収率) 投入した原材料に対して実際に製品化できた量の割合 スケールアップの段階で数値が変動しやすく、原価やミニマムロットの検討材料になります。
製造ロット 一回の製造工程でまとめて生産する単位 品質保証の面ではロットトレースの単位にもなります。
ミニマムロット(最小製造ロット)(業界慣行) 委託先が受け入れ可能な最小の製造ロットを指す業界慣行の呼び方 工場の設備や受注状況によって考え方が異なるため、社内資料では委託先ヒアリングに基づく想定値である旨を併記することが望ましいといえます。
MOQ(Minimum Order Quantity・最低発注数量) 発注側が一度に発注できる最低数量 ミニマムロットとは主体が異なる語で、製造側の制約か発注側の条件かを区別して使う必要があります。
SPQ・SNP(発注単位) SPQは標準梱包数量、SNPは標準ロット数量など発注単位に関する業界慣行の呼び方 MOQと合わせて使われることが多く、発注書ではどの単位を指しているかを明記する必要があります。
リードタイム 発注から納品までにかかる期間 試作からスケールアップ、量産化までの各段階で発生し、委託先ごとに事情が異なります。

この章でつまずきやすいのは、数量を指す語の主体の取り違えです。ミニマムロットは工場が受け入れられる製造単位、MOQは発注側が満たすべき最低数量で、同じ「最低」でも制約の出どころが異なります。本記事では具体的な日数や個数を示していません。これらは工場の設備・稼働状況によって変わり、一律の目安として扱うと稟議の前提がずれるためです。外部に試作・量産を依頼する場合は食品メーカーの商品企画の外注やコンビニ新商品開発の流れ、商品開発の外注費用の考え方も参考にしつつ、社内資料には委託先ヒアリングに基づく想定値である旨を明記しておくことが望ましいといえます。

第5章 品質保証・期限設定の用語(8語)

消費期限・賞味期限をどのように設定するかという段階の語群です。消費者庁のガイドラインが定義や考え方を示している語が多いため、他の章より詳しく解説します。

用語 読み・略語の意味 要点
表示責任者(※1) ガイドラインで「期限の設定を行う食品関連事業者等」と定義されている語 表示責任者は、食品の特性等に応じて科学的・合理的な根拠に基づく期限の設定および安全係数の設定を自ら考えて行うことが期待されるとされています(※1)。OEMで製造を委託していても、表示責任者が誰かは契約と表示の設計で決まります。
消費期限(※1) 食品表示基準第2条の定義に基づく期限 「定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日」とされています(※1)。
賞味期限(※1) 食品表示基準第2条の定義に基づく期限 「定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする」とされています(※1)。
客観的な項目(指標)と基準(※1) 期限設定の根拠となる、数値化が可能な試験・検査項目とその基準値 理化学試験・微生物試験・官能検査等が該当し、官能検査も適切な条件下で行えば客観的な項目とすることが可能とされています(※1)。
安全係数(※1) 試験で得られた期限に掛ける1未満の係数、又は差し引く時間や日数 安全係数は1に近づけ、差し引く時間や日数は0に近づけることが望ましいとされ、加圧加熱殺菌したレトルトパウチ食品や缶詰等でばらつきが少なく安全性が十分に担保されている食品は考慮する必要はないとされています(※1)。
保存試験・加速試験 保存試験は実際の保存条件で品質変化を確認する試験、加速試験は高温等の条件で変化を早めて確認する試験の業界慣行の呼び方 「加速試験」という呼び方は業界慣行のもので、※1には記載がありません。
HACCPに沿った衛生管理 工程ごとの危害要因を分析し重要管理点を管理する衛生管理の仕組み 期限設定の前提となる衛生管理の枠組みで、委託先の管理体制を確認する材料になります。
ロットトレース・トレーサビリティ(業界慣行の呼び方) 製造ロットの単位で原材料から製品までを追跡できる状態を指す業界慣行の呼び方 期限設定の根拠資料と結びつけて管理されることが多いです。

この章で押さえておきたいのは、消費期限と賞味期限では優先する試験が違うという点です。ガイドラインは、消費期限を微生物試験等の安全性に係る試験・検査の結果を優先して設定する期限、賞味期限を理化学試験や官能検査等の品質の試験・検査の結果を優先して設定する期限と整理しています(※1)。どちらを表示するかによって、委託先に依頼すべき試験項目が変わります。

運用面では次の3点も一次情報に記述があります。期限表示は開封前の状態で、かつ定められた保存方法で保存した場合の期限であり、開封後は常温で保存できるものであっても環境中の微生物により腐敗が始まるとされています(※1)。期限設定の根拠に関する資料は整備・保管し、求められたときには情報提供するよう努めるものとされています(※1)。また、商品アイテムが膨大で改廃サイクルが早い現状を踏まえ、食品の特性等を十分に考慮した上で、特性が類似している食品の試験・検査結果等を参考にして期限を設定することも可能と考えられるとされています(※1)。

したがって委託先に試験を依頼する場合も、結果を受け取るだけでなく、指標・基準・安全係数の設定根拠を自社で説明できる状態にしておくことが望ましいといえます。機能性表示食品のように届出が絡む開発では機能性表示食品の開発委託、表示物の作成そのものを依頼する場合は食品表示の作成代行もあわせて確認しておくと、期限設定と表示作成の担当範囲を整理しやすくなります。

第6章 表示・法規制の用語(8語)

パッケージの表示を作成する段階の語群です。同じ言葉が別の制度を指す場合があるため、条文・通知との対応を確認しながら整理します。

用語 読み・略語の意味 要点
一括表示 食品表示基準に基づく表示事項を枠内にまとめた表示形式。「一括表示枠」とも呼ばれる アレルゲン表示にも別概念の「一括表示」があります。アレルゲンは個別表示が原則で、一括表示は表示面積に限りがある場合などの例外的な表示方法とされ、個別表示と一括表示を組み合わせて使用することはできません(※2)。会議でどちらの一括表示を指しているかを確認する必要があります。
特定原材料と特定原材料に準ずるもの(※2・※3) 表示が義務づけられている特定原材料と、通知により表示が推奨されている特定原材料に準ずるものの呼び分け 特定原材料はえび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)の9品目で、準ずるもの20品目とあわせて29品目です(※2・※3)。卵・乳・小麦で原因食物全体の約50%を占め、木の実類ではクルミが916件(木の実類中61.7%)、カシューナッツが279件(同18.8%)となっています(※2)。
代替表記と拡大表記(※2) 代替表記は特定原材料等と表示方法や言葉は異なるが同様のものと理解できる表記、拡大表記は特定原材料等または代替表記を含むことにより使用が理解できる表記 代替表記は掲載されているものに限定されます。また「卵白」「卵黄」は事故防止の観点から拡大表記として省略できず、「乳化剤」「乳酸」「乳酸菌」は「乳」の拡大表記に該当しません(※2)。
注意喚起表示と意図しない混入(※2) 混入防止策を徹底しても混入の可能性を排除できない場合に、その旨を知らせる表示 混入が避けられない場合は意図しない混入ではなく原材料として表示し、対策を講じても可能性を排除できない場合に注意喚起表示を行います。ただし「入っているかもしれません」「入っている場合があります」のような単なる可能性表示は、一括表示欄外であっても認められていません(※2)。
原料原産地表示(※5) 加工食品の原材料の産地を示す表示制度 国内で作られた全ての加工食品が対象で、原則は重量割合上位1位の原材料について表示し、22食品群および個別5品目は個別の規定があります。平成29年9月に食品表示基準を改正・施行しています(※5)。
栄養成分表示(※6) 加工食品に栄養成分の量を表示する制度 熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量で表示)の義務5項目をこの順で表示し、飽和脂肪酸・食物繊維は推奨とされています(※6)。
食品添加物の4分類(※4) 指定添加物・既存添加物・天然香料・一般飲食物添加物の4分類 指定添加物は食品衛生法第12条に基づき内閣総理大臣が使用してよいと定めたもので化学的合成品だけでなく天然物も含み、既存添加物は平成7年の食品衛生法改正時に設定された長い食経験があるものです(※4)。
機能性表示食品と特定保健用食品(※7) いずれも機能性を表示できる食品制度 機能性表示食品は事業者が安全性と機能性の科学的根拠等を販売前に消費者庁長官に届け出る制度で、特定保健用食品と異なり国が審査を行わず、事業者が自らの責任で適正な表示を行う必要があります(※7)。

この章では、廃止された制度の名残が残っている点にも注意が必要です。旧食品衛生法に基づく表示基準ではマヨネーズや生クリームは「特定加工食品」としてアレルギー表示を省略できましたが、食品表示基準では特定加工食品の制度が廃止されたため、「マヨネーズ(卵を含む)」「生クリーム(乳成分を含む)」のように表示する必要があるとされています(※2)。過去の表示や社内の参考資料を流用する場合、廃止前のルールに基づいた記載が混ざる場合があります。

一括表示のように同じ言葉が別の制度を指す語や、代替表記・拡大表記のように似た言葉で違う操作を指す語もあるため、社内資料では条文や通知の該当箇所を併記しておくことが望ましいといえます。添加物の扱いを整理する場合は食品添加物の規制と注意点を確認しておくと、担当範囲の切り分けに役立ちます。

2026年に呼び方や対象が変わった3つの用語

  1. 下請法→取適法:2026年1月1日施行の改正で、下請法は中小受託取引適正化法(取適法)となりました(※9)。親事業者→委託事業者、下請事業者→中小受託事業者、下請代金→委託代金という3組の言い換えが行われています(※8)。社内の雛形や発注書の文言が旧称のままだと、条項の参照先がずれる場合があるため、委託取引の書面を扱う部署とあらためて用語をそろえておくことが望ましいといえます。
  2. 特定原材料にカシューナッツが追加:2026年4月1日施行で、特定原材料にカシューナッツが追加されました(※3)。これにより特定原材料は9品目となっています(※2)。くるみは2023年3月9日に追加され、マカダミアナッツは2024年3月28日に特定原材料に準ずるものへ追加され、まつたけが削除されています(※3)。※2では、表示対象品目は経過措置期間等により改正前後のどちらの品目を対象とした表示か判然としないことがあるため、いつ時点の内閣府令又は通知に基づく表示か判断できる記載をすることも可能とされています(※2)。
  3. 期限表示ガイドラインの改正:令和7年3月に改正された※1のガイドラインでは、平成7年に示された消費期限と賞味期限を「5日」で区別する考え方は平成20年に解消されており、現在は推奨していないとされています(※1)。安全係数は1に近づけることが望ましいとされ、加圧加熱殺菌したレトルトパウチ食品や缶詰等では考慮する必要はないとされました(※1)。

発注側と受託側で意味がずれやすい用語ペア9組

混同されやすいペア 違いの要点
OEMとODM OEMは製造委託という取引形態、ODMは設計・開発まで含めて委託する形態です。
PBとNB PBは販売者側のブランド、NBは製造者側のブランドという帰属の違いで、取引形態とは別の軸です。
製造ロットとMOQ 製造ロットは製造側の生産単位、MOQは発注側が発注できる最低数量で、主体が異なります。
MOQとSPQ・SNP MOQは最低発注数量、SPQ・SNPは梱包・ロットの標準単位で、単位の性質が異なります。
ラボ試作とライン試作 ラボ試作は小規模設備での検討段階、ライン試作は量産設備での再現確認段階です。
官能評価(嗜好型)と官能検査(分析型) 官能評価は好き嫌いの確認、官能検査は適切な条件下で行うことで客観的な項目として扱うことができる評価です(※1)。
監修と共同開発 監修は助言・確認にとどまる関わり方、共同開発は企画・レシピ設計の双方に関与する関わり方です。
キャリーオーバーと加工助剤 いずれも添加物の表示免除に関わる語ですが、キャリーオーバーは原材料の製造工程由来、加工助剤は完成品の加工工程由来という違いがあります(※2)。
消費期限と賞味期限 消費期限は安全性を欠くおそれがないと認められる期限、賞味期限は期待される全ての品質の保持が十分に可能と認められる期限という食品表示基準第2条の定義の違いがあります(※1)。

発注書や仕様書では、こうした用語だけでなく「どの数量単位を指すか」「どの試験段階を指すか」を併記しておくと、委託先とのやり取りの手戻りを防ぎやすくなります。

用語を社内と委託先で共有するときの4つの注意点

  • 数値目安には一次情報に基づくものと業界慣行が混在しています。ミニマムロットやリードタイムは工場の設備や受注状況によって変わるため、社内資料では「委託先ヒアリングに基づく想定値」であることを併記しておくことが望ましいといえます。
  • 制度に紐づく語(特定原材料・原料原産地表示・栄養成分表示・食品添加物)は、改正によって対象や呼び方が変わることがあります。改正時点と経過措置の扱いをあわせて記録し、最新の一次情報を確認することが望ましいといえます(※2・※3)。
  • 期限設定は表示責任者が科学的・合理的に行うものとされており(※1)、委託先の試験結果を受け取るだけでなく、指標・基準・安全係数の設定根拠を自社で説明できる状態にしておく必要があります。
  • 表示上の訴求は、景品表示法第5条第1号が定める優良誤認表示(実際のものよりも著しく優良であると示す表示等)に当たらないか確認する必要があります。「著しく」とは、誇張・誇大の程度が社会一般に許容されている程度を超えていることを指します(※11)。

まとめ

本記事では、食品の商品開発で使われる50の用語を、企画・マーケティングから表示・法規制までの実務工程6段階の順に整理しました。OEMとPB、ミニマムロットとMOQのように似ていても意味が異なる語や、消費期限と賞味期限のように食品表示基準の定義に基づく語を区別して使うと、委託先との議論のずれを減らしやすくなります。2026年に呼び方や対象が変わった3つの用語と、意味がずれやすい9組の用語ペアを押さえておくと、契約書や仕様書での手戻りを防ぎやすくなります。新商品の企画を外部に相談する場合は、新商品開発コンサルへの依頼も参考にしてください。

参考資料

※1 食品期限表示の設定のためのガイドライン(令和7年3月)|消費者庁 ※2 加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック(令和8年4月作成)|消費者庁 ※3 食物アレルギー表示に関する情報|消費者庁 ※4 食品添加物|消費者庁 ※5 加工食品の原料原産地表示制度について|農林水産省 ※6 栄養成分表示について|消費者庁 ※7 機能性表示食品について|消費者庁 ※8 取適法の概要|公正取引委員会 ※9 2026年1月から「下請法」は「取適法」へ|公正取引委員会 ※10 【プレスリリース】2025年惣菜市場規模 前年比3.7%増 11兆7,075億円|日本惣菜協会 ※11 優良誤認とは|消費者庁

FAQ

よくある質問

OEMとPBは同じ意味ですか?
同じものを指す語ではありません。OEMは製造を外部に委託する取引形態の呼び方で、PBは販売者側のブランドで売る商品の呼び方です。PB商品をOEMで作ることは多いものの、OEMで作ってもPBではない商品(自社ブランドの製造委託)もあり、契約書や社内稟議では取引形態としてのOEMとブランド帰属としてのPBを分けて書くと論点が整理しやすくなります。
「消費期限はおおむね5日以内」という説明は今も使えますか?
消費者庁のガイドラインでは、期限表示が導入された平成7年に示された消費期限と賞味期限を「5日」で区別する考え方は、用語の定義に基づく期限設定とはいえないことから平成20年に解消されており、現在は推奨していないとされています(※1)。区別は食品表示基準第2条の定義(安全性を欠くおそれがないと認められる期限か、期待される全ての品質の保持が十分に可能と認められる期限か)に立ち返って判断する必要があります。
委託先との代金交渉で気をつける用語の変更はありますか?
下請法は2026年1月1日施行の改正により中小受託取引適正化法(取適法)となり、親事業者は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者、下請代金は委託代金と呼び方が変わりました(※8・※9)。社内の雛形や発注書の文言が旧称のままだと、条項の参照先がずれる場合があるため、委託取引の書面を扱う部署と用語をそろえておくことが望ましいといえます。

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