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機能性表示食品の開発委託|届出支援込みの費用相場と流れ

執筆: 旨味転生編集部読了目安 約13分

機能性表示食品を外部に委託して開発する場合、総額がいくらになるのかは検討の初期段階では見えにくいものです。届出代行会社やOEMメーカーが公開している料金はそれぞれ提供範囲が異なり、そのまま足し合わせても総額にはなりません。結論から言うと、費用は①製品開発(OEM)②科学的根拠の整備③届出書類の作成と差し戻し対応④販売後の運用・制度改正対応、という4層に分かれ、どこまでを委託するかで総額が数百万円単位で変わります。本記事では公開情報をもとに、層ごとの相場感を整理します。製品そのものの委託先選びは食品OEM委託先の選び方|8つの選定基準と見積比較のポイントもあわせてご覧ください。

機能性表示食品の開発委託でかかる費用は4つの層に分かれる

見積もりを比較しづらいのは、4つの層のどこまでが価格に含まれているかが会社ごとに違うためです。

届出そのものに手数料はかからない

消費者庁への届出自体は無料です。費用が発生するのは、届出にたどり着くまでの準備工程、つまり科学的根拠の整備や書類作成の部分です(※4)。

費用の4層

層 主な作業 主な委託先 費用が動く要因
①製品開発(OEM) 処方設計・試作・製造 OEMメーカー ロット数、既存処方の流用可否、容器仕様
②科学的根拠 研究レビュー作成、または最終製品の臨床試験 研究レビュー作成会社、試験受託機関 研究レビューか臨床試験かの選択、既存論文の有無
③届出支援 届出書類の作成、データベース入力、差し戻し対応 届出支援会社、コンサル会社 差し戻しの回数、新規成分か既存成分か
④販売後の運用 変更届、年次確認、制度改正への対応 届出支援会社、社内担当 制度改正の頻度、パッケージ変更の有無

①は製品原価・製造委託費、②③は届出にたどり着くための準備費、④は販売開始後も継続しうる運用費です。相見積もりが噛み合わない原因の多くは、A社の見積もりが②③のみ、B社の見積もりが①②③を含む、といった具合に対象範囲がずれている点にあります。逆に言えば、この4層を先に社内で定義し、「どの層について見積もるのか」を揃えて依頼すれば、料金体系の違う会社どうしでも比較できるようになります。特に金額差が大きい②の相場を、次章で見ていきます。

費用相場:研究レビュー(SR)ルートと臨床試験(RCT)ルート

科学的根拠をどちらの方式で用意するかが、総額を最も大きく左右します。

科学的根拠は2方式から選べる

制度上、機能性の科学的根拠は「最終製品を用いた臨床試験」か「最終製品または機能性関与成分に関する研究レビュー」のいずれかで示すこととされています(※1)。届出実績では研究レビューが多数派で、2023年4月1日時点の総届出件数6,606件のうち研究レビューが6,297件(95.3%)、臨床試験が309件(4.7%)です(※2)。

研究レビュー(SR)ルートの費用

公開されている料金情報のひとつでは、工程別費用が次のように示されています(※3)。

工程 費用目安 期間目安
事前調査 80万〜100万円 〜2週間
研究レビュー作成 120万〜350万円 2〜3週間
届出書類作成 50万〜150万円 1〜2週間
届出・修正対応 50万〜100万円 5〜12ヶ月
運用サポート(年1回) 30万〜50万円 1〜2週間
総額目安 約400万〜700万円(税別) 最短7〜11ヶ月で受理

別の事業者の料金情報では、SR作成55万〜220万円(税込)、様式書類作成55万〜110万円(税込)、関与成分同定・定量11万〜110万円(税込)、安全性調査・作用機序作成55万円(税込)とされ、見積例はSR対応100万〜200万円と届出関連150万円〜を合わせた合計250万円〜です(※4)。

同じ「研究レビュー方式」でも、総額目安が約400万〜700万円(税別)とする例(※3)と、合計250万円〜とする例(※4)があります。この差は値付けの差というより、事前調査・関与成分の同定定量・安全性調査・差し戻し対応・販売後の運用サポートのうち、どこまでを価格に含めているかの差と読むのが実務的です。税込か税別かの表記も事業者によって異なるため、金額の大小だけで判断せず、工程単位で内訳を並べて確認することをおすすめします。

最終製品の臨床試験(RCT)ルートの費用

臨床試験ルートは、研究レビューより費用・期間ともに大きくなる傾向があります。先ほどと同じ事業者の料金では臨床試験(RCT)実施が770万〜1,650万円(税込)で、見積例は臨床試験1,200万円〜と届出関連150万円〜を合わせた合計1,350万円〜です(※4)。別の情報源では試験費用300万〜1,500万円、論文作成・投稿費用100万〜300万円、届出サポート費用100万〜300万円、合計500万〜2,100万円とされています(※5)。期間は準備2〜3ヶ月、協力者募集1〜2ヶ月、試験実施3〜6ヶ月、データ解析約1ヶ月、論文作成・投稿3〜6ヶ月、届出書類作成約1ヶ月、受理3ヶ月〜で、全体では1年〜1年半程度とされます(※5)。研究レビューが数ヶ月単位であるのに対し、臨床試験は年単位のスケジュールになります。

製品そのものの開発費(OEM)は別枠で見る

科学的根拠とは別に、製品そのものの開発・製造費も見積もる必要があります。公開情報では、OEM委託は最小ロットで50万〜100万円前後、高品質仕様では150万〜300万円以上とされ、初期費用はゼロから処方開発する場合50万〜100万円程度、既存処方を活用する場合は数万円程度、容器・ラベル費用は1商品あたり数十円〜100円程度が目安です(※8)。冷凍食品としての開発を検討する場合は冷凍食品の商品開発を委託する方法|OEM活用の流れと費用相場を解説も参考になります。

発注から販売開始までの流れと、押さえるべき期限

届出は「販売日の60営業日前まで」に行う必要があり、暦日ではなく営業日で数える点は見落としやすい部分です。週5営業日で単純計算しても60営業日は12週にあたり、祝日を挟めばさらに後ろに延びます。発売日から暦日で逆算していると、届出のデッドラインを実際より遅く見積もってしまうことがあります。

①成分とヘルスクレームの事前調査

使いたい成分で、表示したい機能性が届出可能かを確認する工程です。公開情報では80万〜100万円、〜2週間程度が目安とされています(※3)。

②科学的根拠の整備

研究レビューの作成そのものは2〜3週間程度(※3)、臨床試験を新たに実施する場合は論文掲載まで含めて1年前後(※5)と、方式によって桁が異なります。ただし研究レビューの作成期間が短いことは、受理までの期間が短いことを意味しません。時間がかかるのはこの後の届出・差し戻し対応の工程です。

③届出書類の作成と届出

販売日の60営業日前まで、新規成分等で表示内容等の確認に時間を要すると消費者庁長官が認める場合は120営業日前までに届け出るとされています(※6)。

④差し戻し対応と受理

届出後は受理または差し戻しの通知まで一定期間を要します。公開されている支援事業者の情報では、受理まで最短7〜11ヶ月、消費者庁からの通知まで約60営業日とされています(※3)。同じ情報では届出・修正対応の費用が50万〜100万円、期間が5〜12ヶ月とされており、この工程は幅が大きく出やすい部分です(※3)。差し戻しが何往復するかは事前に読みきれないため、見積もりの段階で「対応が何回まで基本料金に含まれるのか」「超えた場合の単価はいくらか」を確認しておくと、後からの想定外を減らせます。

委託先は3類型ある:OEMメーカー/届出支援会社/試験受託機関

「ワンストップ対応」と謳う会社でも、3類型のどこを自社で担い、どこを再委託しているかは会社ごとに異なります。

類型 主な担当工程 発注側が確認すべき点
OEMメーカー 処方設計・試作・製造 最小ロット数、既存処方の有無、GMP対応工場かどうか
試験受託機関・研究レビュー作成会社 研究レビュー作成、臨床試験の実施 PRISMA2020への準拠状況、既存論文の活用可否
届出支援会社 届出書類の作成、データベース入力、差し戻し対応 差し戻し対応が追加費用になるか、再委託先の有無

OEMメーカーは製造、試験受託機関・研究レビュー作成会社は科学的根拠、届出支援会社は届出書類と差し戻し対応をそれぞれ担います。窓口が一本化されていても、一部工程を専門会社に再委託しているケースがあるため、実際の作業主体と責任の所在を契約前に確認しておくと、差し戻しや仕様変更が起きたときの窓口が明確になりやすくなります。委託先選定の相談先としては新商品開発コンサルへの依頼ガイド|費用相場・依頼できること・選び方を解説も参考になります。

2026年9月からの制度改正で、見積もりの前提が変わった部分

2024年8月に公布された制度改正のうち、2026年9月1日から実施された項目は、委託先選定と製造コストの前提に直接影響します。

錠剤・カプセル剤形状はGMPに基づく製造管理が遵守事項に

錠剤・カプセル剤形状はGMPに基づく製造管理を行うことが届出者の遵守事項となり、令和8年(2026年)9月1日から実施されています(※7)。この剤形では製造委託先の候補がGMP対応工場に絞られる可能性があり、委託先選びと製造単価の前提が変わることが考えられます。

届出情報の表示方法の見直しも同日から実施

届出情報の表示方法の見直しも、令和8年9月1日から実施されています(※7)。パッケージの表示設計に関わるため、デザインを固めた後だと修正の手戻りコストが発生する可能性があります。

研究レビューはPRISMA2020準拠が前提

研究レビューのガイドライン改正は2023年9月29日で、2025年3月31日までの届出はPRISMA2009準拠版が使えましたが、2025年4月1日以降の新規届出はPRISMA2020準拠が求められます(※9)。手元にある過去の研究レビューや、素材メーカーから提供された研究レビューがPRISMA2009準拠のものである場合、そのまま新規届出に使えるとは限りません。見積もりを依頼する前に、流用を想定している研究レビューがどちらの版に準拠しているかを確認しておくと、根拠整備の費用見込みを立てやすくなります。

健康被害情報の報告体制は委託できない自社の責任範囲

健康被害情報の報告は、令和6年(2024年)9月1日から実施されている制度改正により届出者の遵守事項とされています。医師が診断した健康被害疑いの情報は因果関係が不明でも速やかに保健所・消費者庁へ情報提供することとされ、死亡・入院等の重篤事例は1例でも情報を知ってから15日以内、30日以内に同一所見の症例が複数発生した場合も15日以内の報告とされています(※7)。この体制は委託の範囲外で、社内整備が必要です。

見積もりを依頼する前に、貴社側で決めておきたい6項目

発注側で以下を先に定義しておくと、料金体系の異なる見積もりでも比較しやすくなります。

  1. 訴求したいヘルスクレームの優先順位:候補を複数挙げ優先順位をつけると、根拠整備の範囲を絞り込みやすくなります。
  2. 機能性関与成分の候補と、既存の研究レビュー・論文を流用できるか:既存データの有無で事前調査以降の費用が変わります。
  3. 剤形(錠剤・カプセル・飲料・食品形状)と想定ロット:剤形によって製造委託先の候補や単価の前提が変わります。
  4. 想定発売時期から逆算した届出期限:60営業日前、新規成分等は120営業日前を織り込みます。
  5. 自社で担う工程と外部委託する工程の線引き:健康被害情報の報告体制など委託できない工程を踏まえます。
  6. 差し戻し時の追加費用と対応回数の上限:契約前に確認しておくと想定外の追加費用を避けやすくなります。

委託費用を抑えるために実務上できること

費用を圧縮する余地は、値引き交渉よりも「方式の選択」と「範囲の設計」にあります。

既存の機能性関与成分と既存の研究レビューを先に探す

ある支援事業者は、既存データを活用できる場合には50万円〜に抑えられる場合があるとしています(※3)。あくまで一事業者が示す目安であり、どの製品にも当てはまるものではありませんが、費用の幅がこの工程で大きく動くことは読み取れます。ゼロから研究レビューを作成する前に、使いたい成分について既に届出実績のある研究レビューや論文が存在しないかを確認することが、費用設計の起点になります。

ヘルスクレームを欲張らない

機能性の訴求点を増やせば、それぞれについて科学的根拠を揃える必要が生じ、費用も期間も膨らみやすくなります。届出の段階ではもっとも訴求したい機能性に絞り、販売後の手応えを見てから追加の届出を検討するという順序も取りえます。

契約時に工程と追加費用の条件を明文化する

差し戻し対応の回数、再届出時の費用、変更届の費用は契約書で定義しておくことで、後からの想定外の追加費用を減らせます。あわせて、商品化の前段で確認しておきたい項目は業態開発 着手前チェックリストにも整理していますので、社内の検討材料としてご活用ください。

まとめ

機能性表示食品の開発委託費用は、①製品開発(OEM)②科学的根拠の整備③届出書類の作成と差し戻し対応④販売後の運用・制度改正対応、という4層で考えると見積もりを比較しやすくなります。科学的根拠の整備は、研究レビュー方式で総額約400万〜700万円(税別)、臨床試験方式で合計500万〜2,100万円程度と、方式によって費用・期間が大きく異なります。届出は販売日の60営業日前まで、新規成分等では120営業日前までという営業日ベースの期限があり、スケジュール設計の起点になります。また委託先にはOEMメーカー、試験受託機関・研究レビュー作成会社、届出支援会社の3類型があり、「ワンストップ」と示されていても、どこまでを自社で担っているかは会社ごとに異なります。2026年9月から実施されたGMPに基づく製造管理や表示方法の見直しは、剤形によって委託先選びや製造コストの前提に影響しうるため、検討中の剤形が該当するか事前に確認しておくとよいでしょう。まずは4層のうちどこを自社で担い、どこを外に出すかを社内で決めるところから着手すると、見積もり依頼の精度が上がります。

参考資料

  1. 消費者庁「機能性表示食品について」(参照日: 2026-09-14)
  2. 上岡洋晴「機能性表示食品制度の現状と課題—機能性のエビデンス」YAKUGAKU ZASSHI(薬学雑誌)143巻11号(参照日: 2026-09-14)
  3. 株式会社機能食品研究所「機能性表示食品とは?制度や種類、届出の流れ・費用を徹底解説」(参照日: 2026-09-14)
  4. 薬事法ドットコム「機能性表示食品取得コンサル 料金案内」(参照日: 2026-09-14)
  5. 治験モニターのススメ「機能性表示食品の臨床試験|申請届出の流れから費用まで徹底解説」(参照日: 2026-09-14)
  6. 東京都保健医療局「食品衛生の窓|栄養成分表示(機能性表示食品)」(参照日: 2026-09-14)
  7. 日本通信販売協会(JADMA)「2024年の機能性表示食品制度の見直し内容と施行期日について」(参照日: 2026-09-14)
  8. 三生医薬株式会社「サプリメントのOEM費用の相場は?コストの内訳も合わせて徹底解説」(参照日: 2026-09-14)
  9. 三生医薬株式会社「初心者のための機能性表示食品開発:2025年4月からの新基準PRISMA2020とは?」(参照日: 2026-09-14)

FAQ

よくある質問

機能性表示食品の届出そのものに手数料はかかりますか?
消費者庁への届出自体に手数料はかかりません。費用が発生するのは、届出に添付する科学的根拠(研究レビューまたは臨床試験)の整備、届出書類の作成、差し戻し対応、そして製品そのものの開発・製造の部分です。
研究レビュー(SR)と臨床試験(RCT)では、費用はどれくらい違いますか?
公開されている料金情報では、研究レビュー方式の総額目安が約400万〜700万円(税別)、最終製品の臨床試験を実施する場合は合計500万〜2,100万円程度とされています。既存の論文を活用できる研究レビュー方式のほうが、費用・期間ともに小さくなる傾向があります。
届出はいつまでに出す必要がありますか?
販売日の60営業日前までに消費者庁長官へ届け出る必要があります。新規成分等で表示内容の確認に時間を要すると消費者庁長官が認める場合は120営業日前とされています。暦日ではなく営業日である点に注意が必要です。
委託先はどう選び分ければよいですか?
製品そのものを作るOEMメーカー、科学的根拠を整備する試験受託機関・研究レビュー作成会社、届出書類の作成と差し戻し対応を担う届出支援会社の3類型があります。「ワンストップ」を掲げる会社でも、どの工程が見積もりに含まれ、どこから追加費用になるかは各社で異なるため、工程単位で範囲を確認することが重要です。
2026年9月の制度改正は費用にどう影響しますか?
錠剤・カプセル剤形状の機能性表示食品については、GMPに基づく製造管理を行うことが届出者の遵守事項となり、令和8年(2026年)9月1日から実施されています。剤形によっては製造委託先がGMP対応工場に限られるため、委託先候補の絞り込みと製造単価の前提が変わる可能性があります。

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