本文へ移動
旨味転生Umami Tensei
04Global Expansion海外展開

海外進出の現地パートナー選び方|見極める視点と契約前の確認事項

執筆: 旨味転生編集部読了目安 約5分

海外出店の成否を分ける要因として、現地パートナーの選定ミスがしばしば挙げられます。「知人の紹介だから」「費用が安かったから」といった理由だけで契約すると、後になって許認可の不備や契約終了後の模倣といったトラブルに発展しかねません。本記事では、現地パートナーを見極める視点と、契約前に確認すべきデューデリジェンスの項目を解説します。

現地パートナーの有無が海外展開の成否を左右する

食品・日用品・家電・小売・流通業界で年商10億円以上、海外進出経験を持つ企業の事業担当者を対象にした調査では、海外進出に成功した企業と失敗した企業を分けた要因として「現地に強いパートナーや支援者の有無」が36.8%で最も多く挙げられ、次いで「中長期視点での投資判断ができていたか」(24.4%)、「事前の市場調査・検証の精度」(23.9%)が続いたと報告されています※1。同調査では、撤退理由の1位が「コスト面での継続困難」であったことも明らかになっており、コスト超過の背景に現地パートナー選定の失敗が絡んでいるケースが少なくないことがうかがえます※1。

味やメニューのローカライズがどれだけ精緻でも、それを現地で実行するパートナーの選定を誤ると、事業そのものが立ち行かなくなるリスクがあります。メニューのローカライズについては以下の記事も参考にしてください。

現地パートナー選定でよくある失敗パターン

安易な理由での選定 「現地に知り合いがいるから」「提示された条件が有利だったから」といった理由だけでパートナーを決めると、その後の判断が誤っていた場合の代償は大きくなります※1。資金力や条件面だけでなく、飲食業態の運営経験や許認可取得の実績を含めた総合評価が欠かせません※2。

許認可対応の甘さ 中国への進出で、マスターフランチャイズ契約の締結から半年ほど経過した時点で、現地の関係当局から「無許可で営業している」との通達を受けた事例が報告されています※3。現地の許認可制度に精通していないパートナーを選んでしまうと、開業後に事業継続そのものが脅かされるリスクがあります。

契約終了後の商標・レシピ模倣 現地パートナーと契約を結び、契約更新のタイミングで他社に切り替えたところ、元のパートナーが酷似したロゴで同様の店舗を独自に始めてしまったという事例も報告されています※3。契約関係が終了した後の知的財産保護を契約時点で手当てしておかないと、ブランドの毀損につながります。

現地パートナーを見極めるための確認ポイント

現地パートナーの見極めでは、以下のような観点を組み合わせて評価することが重要です。

  • 業界経験:飲食業態の運営経験があるか。経験があれば、許認可の取得手続きや原料調達の面でも進めやすくなります※3。
  • 資金力・財務健全性:初期投資や運転資金を継続的に負担できる体力があるか。
  • コンプライアンス体制:現地の法規制を遵守した事業運営の実績があるか。
  • オーナー・経営陣の人物像:長期的なパートナーシップを築ける相手か、複数のチャネルから評判を確認する。
  • 現地でのネットワーク:物件確保や人材採用、行政対応において現地に根ざした関係を持っているか。

これらは単発のヒアリングだけで判断できるものではなく、現地に足を運んで複数の情報源から裏付けを取ることが望ましいとされています※4。

デューデリジェンスで確認すべき項目

契約締結前には、以下のような観点でデューデリジェンス(相手企業の実態調査)を行うことが推奨されます※5。

確認領域 主な確認項目
法務 既存契約の内容、訴訟・係争の有無、社内のコンプライアンス体制
許認可 飲食営業に必要な許認可・ライセンスを正当に取得しているか
知的財産 商標・特許などの権利関係、他社との係争リスクの有無
財務 資本構成、財務状況、資金調達力
事業実績 飲食業態の運営経験、店舗展開の実績、業界内での評判

デューデリジェンスは新規取引だけでなくM&Aや投資の場面でも用いられる手法で、対象企業の価値やリスクを多角的に査定するものです※5。現地の弁護士・会計士・信用調査会社など専門家の協力を得ながら進めるのが一般的です※5。

契約書に盛り込むべき防御条項

デューデリジェンスで問題がなかった場合でも、契約書の設計で将来のトラブルに備えることが重要です。

  1. 契約終了後の商標・レシピ使用禁止条項:契約終了後に類似の屋号・ロゴ・レシピを使用することを明確に禁止する。
  2. 競業避止条項:契約終了後、一定期間・一定地域での競合事業の開始を制限する。
  3. 許認可取得の責任分担:どちらが許認可取得の責任と費用を負うかを明記する。
  4. 監査・報告義務:ロイヤリティの算定根拠となる売上等について、本社側が監査できる権利を確保する。
  5. 解除条件と協議手続き:契約解除の要件と、解除に至るまでの協議プロセスを具体的に定める。

契約形態そのもの(マスターFC・エリアFCなど)の選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ

海外展開の成否は、味のローカライズだけでなく、それを現地で実行する現地パートナー選定の精度に大きく左右されます。安易な理由でパートナーを決めず、業界経験・資金力・コンプライアンス体制・現地ネットワークといった観点から総合的に評価し、法務・許認可・知的財産・財務にわたるデューデリジェンスを経て契約に進むことが基本です。あわせて、契約終了後の商標・レシピ保護や競業避止条項を契約書にあらかじめ盛り込んでおくことで、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。

参考資料

  1. 【海外進出 実態調査】海外進出はなぜ失敗するのか?撤退理由1位「コスト」の裏側にある実態を解明|DNP出版IPビジネスPR事務局
  2. 海外進出で失敗しないためのパートナーの選び方を紹介
  3. 海外FC展開に関するトラブル|フランチャイズ・FC契約書ドットコム
  4. 海外パートナーの探し方と見極め方|失敗しないパートナー選定の実務
  5. 海外進出を始めるために必要な基礎知識 -海外デューデリジェンスと人物調査-|企業信用調査の総合探偵社 テイタン

FAQ

よくある質問

現地パートナーは知人の紹介で決めても問題ないですか?
知人の紹介やコネクションはきっかけとしては有効ですが、それだけで契約可否を判断するのは危険です。資金力・業界経験・許認可の状況などを客観的に確認するデューデリジェンスを、紹介の有無にかかわらず実施することをお勧めします。
デューデリジェンスは自社だけで実施できますか?
基本的な情報収集は自社でも可能ですが、現地の法務・会計制度や商慣習に精通していないと見落としが生じやすいため、現地の弁護士や会計士、信用調査会社など専門家の協力を得るのが一般的です。
契約終了後にブランドやレシピを模倣されるリスクにはどう備えればよいですか?
契約書の中に、契約終了後の商標・ロゴ・レシピの使用禁止条項や、一定期間の競業避止条項を明記しておくことが基本的な備えになります。あわせて、現地での商標登録を進出前に済ませておくことも重要です。
現地パートナーとの関係が悪化した場合、どのように対応すべきですか?
契約書に定めた協議手続きや解除条項に沿って対応するのが基本ですが、現地の商慣習では感情的な対立が事業継続に直結しやすいため、早期に現地の専門家を交えて関係修復や契約解消の落としどころを探ることが望まれます。
資金力のあるパートナーであれば安心して任せられますか?
資金力は重要な要素のひとつですが、それだけでは不十分です。飲食業態の運営経験、必要な許認可の取得実績、原料調達網の有無なども合わせて確認し、総合的に判断する必要があります。

Free Consultation

商品開発・業態開発のお悩み、
まずはご相談ください。

初回ヒアリングは無料です。海外展開・現地パートナー選定のご相談は旨味転生へお問い合わせください。

無料でお問い合わせする

Start here

海外展開の基本記事

Related

Themes

テーマから探す