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旨味転生Umami Tensei
04Global Expansion海外展開

海外の日本食レストラン数ランキング|国別・地域別の伸びと鈍化を統計で読む

執筆: 旨味転生編集部読了目安 約11分

海外展開の候補国を検討する際、日本食の受容度を示す公開統計として農林水産省の日本食レストラン数調査があります。ただし一次情報は別紙PDFに数値が分散しており、国別・地域別の順位や増減を横並びで確認しにくい状態です。本記事では令和7年(2025年)調査の公開値を、国別ランキング・地域別の増減・増えた国と減った国という3つの切り口で整理し、出店判断の材料として使う際の注意点まで確認します。

この記事の集計方法と前提

本記事のランキングは、農林水産省が公表した調査結果をそのまま順位に並べ替えたものであり、旨味転生編集部が独自に評価づけしたものではありません。

使用した統計は、農林水産省「海外における日本食レストラン数の調査結果(令和7年)」(※1)です。2025年11月28日公表で、外務省の協力のもと、現地で「日本食レストラン」として扱われている店舗等を対象に実施されています。公表値はいずれも「概数」であり、厳密な登記店舗数の積み上げではありません。

調査は2年ごとで、前回は令和5年(2023年)調査(※5)です。国・地域別の内訳はプレスリリース本文ではなく別紙で公開されているため、本記事では別紙の数値を報じた公開情報(※3・※4)と、地域別の店舗数を報じた公開情報(※2)をあわせて表にしました。編集部が計算・加工した箇所は、その都度明記します。

海外の日本食レストラン数ランキング(2025年・3,000店以上の10か国・地域)

2025年時点で店舗数が3,000店以上の国・地域は10あり、上位3か国(中国・米国・韓国)だけで世界計18万1,000店の6割前後を占めています。

順位 国・地域 2025年の店舗数 前回比 増減率
1 中国 約6万3,500店 △1万5,260店 △19%
2 米国 約2万6,360店 +320店 +1%
3 韓国 約1万9,800店 +1,590店 +9%
4 メキシコ 約7,430店 +310店 +4%
5 台湾 約7,100店 △340店 △5%
6 インドネシア 約6,580店 +2,580店 +65%
7 タイ 約5,920店 +590店 +11%
8 ブラジル 約4,520店 +1,670店 +59%
9 フランス 約3,390店 △1,290店 △28%
10 カナダ 約3,080店 +470店 +18%

出典:※3・※4

上位3か国はいずれも1万店を超え、4位のメキシコ以下は1万店未満で差が大きく開いています。増減率では6位インドネシアの+65%、8位ブラジルの+59%が突出する一方、下落率では9位フランスの△28%が最も大きく、減少店舗数が最多の中国(△19%)を上回っています。順位(絶対数)と増減率は別の指標であり、どちらを見るかで浮かび上がる国が変わる点に注意が必要です。

なお「上位3か国で6割前後」は、63,500店+26,360店+19,800店=10万9,660店を世界計18万1,000店で割った編集部の計算(約61%)で、農林水産省が公表した割合ではありません。

世界全体は約18万1,000店|調査開始以降で初めての減少

2025年の世界計は約18万1,000店で、前回調査から約6,000店(率にして約3.2%)減少しました。2006年の調査開始以降で初めて前回を下回ったと報じられています(※4)。

調査年 店舗数(概数)
2006年 約2万4,000店
2013年 約5万5,000店
2015年 約8万9,000店
2017年 約11万8,000店
2019年 約15万6,000店
2021年 約15万9,000店
2023年 約18万7,000店
2025年 約18万1,000店

出典:※1・※5・※6

表に示した調査年で見ると、2006年から2023年までは調査のたびに数値が増えており、2025年調査での減少は、公開情報(※4)でも「調査開始後初めての減少」として報じられています。

ただし減少率は約3.2%にとどまり、表の数値で比べると水準としては2023年に次ぐ2番目の規模です。この1回の結果だけで縮小局面に入ったと判断するのは難しく、次回調査(2027年公表想定)での確認が必要な段階といえます。社内資料でこの推移を示す場合も、「減少に転じた」ではなく「前回調査から減少した」という事実にとどめて記載するほうが、後から検証しやすくなります。

海外展開そのものの進め方については、飲食店の海外進出ガイド もあわせてご確認ください。

地域別の店舗数と増減|マイナスはアジアのみ

2025年の調査で前回を下回った地域はアジアのみで、中南米・中東・アフリカは約2割増、大洋州は約1割増となりました。

地域 2025年の店舗数 農林水産省が公表した前回比
アジア 約11万2,400店 約9,600店減(約1割減)
欧州 約1万9,200店 ほぼ横ばい
中南米 約1万5,300店 約2,400店増(約2割増)
大洋州 約2,800店 約300店増(約1割増)
中東 約1,600店 約300店増(約2割増)
アフリカ 約800店 約110店増(約2割増)

出典:※1・※2

北米については、農林水産省のプレスリリース本文に地域別の増減への言及がなく、本記事では地域別の数値を掲載していません。国別では米国が約2万6,360店(+320店)、カナダが約3,080店(+470店)です(※3・※4)。

アジアは世界計の6割強を占める最大の地域です(11万2,400÷18万1,000=約62%、編集部の計算)。構成比が大きい地域が約1割減ったため、他地域の増加分では相殺しきれず、世界計が前回を下回る結果になったと読めます。

中東・アフリカ・大洋州は増減率が大きく見えますが、いずれも母数が小さく、数百店規模の変動で2割前後動く水準です。率の大きさだけで市場の勢いを判断するのは難しいところがあります。

「アジアの減少」は中国要因|公表値を差引きすると中国以外は増加

アジア全体の減少幅(約9,600店)よりも中国単独の減少幅(約1万5,260店)のほうが大きく、公表値を単純に差引きすると、中国以外のアジアは合計で増加していた計算になります。

アジア全体の増減(△9,600店)から中国の増減(△1万5,260店)を差し引くと、△9,600-(△1万5,260)=約+5,660店となります。これは編集部が農林水産省の公表値を差引き計算したものであり、農林水産省が「中国以外のアジア」として公表した数値ではありません。

内訳を上位10圏内のアジアの国で確認すると、韓国は+1,590店、インドネシアは+2,580店、タイは+590店とプラスで、台湾は△340店とマイナスです。この4か国を合計すると1,590+2,580+590-340=約4,420店で、先ほどの差引き値(約+5,660店)の大部分を占める計算です(こちらも編集部の集計です)。上位10に入らない国・地域の増減は別紙に含まれるため、残りの差分の内訳までは本記事の数値からは特定できません。

同じことは世界計にも当てはまります。世界計の減少幅は約6,000店ですが、中国単独の減少幅は約1万5,260店で、これを差し引くと中国以外の国・地域は合計で約9,260店増えていた計算になります(編集部の差引き計算であり、農林水産省が公表した数値ではありません)。「世界的に日本食レストランが減り始めた」という読み方と、「中国の減少が大きく、他は増えている」という読み方では、市場選定の結論が変わってきます。

「アジアは縮小している」という一言でまとめると、市場選定を誤りやすい面があります。国単位に分解して確認することが実務上は必要です。増加している国の出店費用は インドネシア飲食店出店ガイド と 韓国出店にかかる費用ガイド、減少に転じた台湾については 台湾出店にかかる費用完全ガイド で、それぞれ初期投資と許認可の実務を整理しています。

増えた国・減った国|2年間の増減店舗数ランキング

増加幅の上位はインドネシア・ブラジル・韓国で、減少幅は中国が他国と比べて桁違いに大きくなっています。

増加幅の大きい国・地域

国・地域 増減
インドネシア +2,580店
ブラジル +1,670店
韓国 +1,590店
タイ +590店
英国 +560店
カナダ +470店

減少幅の大きい国・地域

国・地域 増減
中国 △1万5,260店
フランス △1,290店
ロシア △670店
台湾 △340店
イタリア △200店

出典:※3

増加側は東南アジア(インドネシア・タイ)、中南米(ブラジル)、東アジア(韓国)、北米・欧州の一部(カナダ・英国)に分散しており、特定の地域に偏っていません。地域別の表では増加率が高かった中東・アフリカの国名がこの一覧に入っていないのは、増加幅が数百店規模にとどまるためです。率で目立つ市場と、実店舗数で伸びている市場は一致しない場合があります。

減少側は中国の減少幅が2位フランスの10倍以上で、他国とは水準が異なります。欧州は地域合計ではほぼ横ばいですが、国別ではフランス△1,290店・イタリア△200店と減少する一方で英国は+560店と増加しており、地域単位の「横ばい」は国ごとの増減が打ち消し合った結果とみられます。地域の数値だけを見て候補を絞り込むと、増加している国を取りこぼす可能性があります。

店舗数と増減の2軸で候補国を4象限に整理する

絶対数と増減を掛け合わせると、候補国ごとに確認すべき論点が変わってきます。

以下は※3・※4の数値を編集部が2軸で並べ替えたものであり、独自の評価づけを加えたものではありません。

象限 該当する国・地域
①1万店以上×前回比プラス 米国、韓国
②1万店以上×前回比マイナス 中国
③1万店未満×前回比プラス メキシコ、インドネシア、タイ、ブラジル、カナダ
④1万店未満×前回比マイナス 台湾、フランス

①(米国・韓国)は日本食が広く定着している一方で店舗数も多く、空いている価格帯・立地・時間帯を探す作業が必要になりやすい状況です。

②(中国)は絶対数では最大である一方、直近は縮小しています。需要そのものが減っているのか、供給側(既存店の淘汰・入替)が動いているのかを分けて確認する必要があります。公表資料が挙げる要因は経済停滞の影響等であり、日本食の受容度低下を直接示すものではありません。

③(メキシコ・インドネシア・タイ・ブラジル・カナダ)は増加局面ですが、母数が小さく増減率が振れやすい面があります。外資規制・許認可・人材確保のハードルを個別に確認する必要があります。タイでの出店検討には タイ・バンコク飲食店出店ガイド もご参照ください。

④(台湾・フランス)は一定の店舗数がありながら減少しており、既存店の入替が進んでいる可能性があります。撤退判断の枠組みは 飲食店の海外撤退はどう判断する? をご確認ください。

この4象限は国単位の集計であり、実際に出店する都市・エリアの商圏の状況までは国別統計から読み取れません。

この統計を出店判断に使うときの注意点

この統計は日本食の受容度を測る出発点として有用ですが、そのまま出店可否の根拠にはしにくい性質があります。

  1. 対象は現地で「日本食レストラン」として扱われている店舗等で、日系企業が運営する店舗数ではありません。非日系オーナーの店舗も含まれ得るため、競合の内訳は別途確認する必要があります。
  2. 公表値は「概数」です。社内資料に転記する場合は、概数であることと出典・対象年をあわせて記載しておくことをおすすめします。
  3. 令和5年の公表資料では、調査手法の変更でより多くの店舗を検索できるようになった旨が増加要因として記載されています(※5)。長期の伸びには手法変更の影響が含まれる可能性があり、時系列比較は幅をもって読む必要があります。
  4. 調査は2年ごとで公表にラグがあります。2026年9月時点の最新は2025年調査で、直近の現地の動きは別の情報源で補う必要があります。
  5. 店舗数の多さは需要の裏返しである一方、競合密度の高さでもあり、数の多寡だけで優先順位をつけにくいところがあります。
  6. 国単位の増減は、出店費用・外資規制・許認可の難易度とは別の話です。候補国を絞った後は国別の制度と費用を個別に確認する工程が必要です。現地パートナーの選び方は 海外進出の現地パートナー選び方、契約形態は 日本食の海外FC展開|契約形態(マスターFC・エリアFC)の違いと選び方 で整理しています。

まとめ

2025年の世界計は約18万1,000店で、調査開始以降初めて前回を下回ったと報じられています。ただし公表値を差引くと、減少幅の大半は中国の動きによるもので、中国以外のアジアも、中国以外の世界全体も、合計では増加していた計算になります。今回の調査では中南米・中東・アフリカ・大洋州が増加しており、絶対数と増減率のどちらを見るかで浮かび上がる候補国も変わってきます。数値が概数であることと調査手法の変更に関する記述を前提に、候補国を絞った後は国別の費用・規制を個別に確認する進め方が現実的です。

参考資料

※1 海外における日本食レストラン数の調査結果(令和7年)の公表について|農林水産省 ※2 海外の日本食レストラン数は18万1,000店に(世界、日本)|ジェトロ ビジネス短信 ※3 海外における日本食レストラン数の調査結果(2025年)公表(農水省)|一般社団法人 日本販売士協会 ※4 海外の日本食レストラン数、調査開始後初めての減少▲6,000店舗の181千店舗|アッセンティア・ホールディングス ※5 海外における日本食レストラン数の調査結果(令和5年)の公表について|農林水産省 ※6 海外の日本食レストラン数は18.7万店、2年で2割増(農水省調査)|日商 Assist Biz

FAQ

よくある質問

海外の日本食レストラン数が分かる最新の公開統計は何ですか?
農林水産省が外務省の協力のもとに実施している「海外における日本食レストラン数」の調査です。2026年9月時点の最新版は令和7年(2025年)調査で、2025年11月28日に公表されました。世界計は約18万1,000店で、国・地域別の内訳はプレスリリースの別紙で公開されています。なお公表値は「概数」であり、厳密な店舗登記数ではない点に留意が必要です。
2025年の調査で店舗数が減ったのはなぜですか?
農林水産省は、アジアの約1割減(約9,600店減)の要因として中国における経済停滞の影響等を挙げています。国別では中国が約1万5,260店の減少で、減少幅が最も大きくなっています。一方で中南米・中東・アフリカは約2割増、大洋州は約1割増となっており、世界全体が一様に縮小しているわけではありません。
日本食レストラン数が多い国に出店すれば成功しやすいのでしょうか?
店舗数の多さは日本食が受け入れられている裏返しでもありますが、同時に競合密度の高さも意味するため、数だけを根拠に進出先を決めるのは難しいところがあります。またこの統計は現地で「日本食レストラン」として扱われている店舗を対象としており、日系企業の店舗数を示すものではありません。店舗数・伸び率・進出先の費用や規制・自社の体制との相性を組み合わせて判断することが現実的です。
この統計を社内の稟議資料に使うときの注意点はありますか?
公表値が「概数」であること、調査が2年ごとで公表ラグがあること、令和5年の公表資料では調査手法の変更によりより多くの店舗を検索できるようになった旨が記載されていることの3点を、数値とあわせて記載しておくと議論が噛み合いやすくなります。出典・対象年・定義を数値とセットで記載しておくことをおすすめします。

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